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#ベリアン・クライアン
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番外編109『もう全て壊れてしまえ』前編
〜辛いなら一緒に泣いてあげる〜
執事達が過去の絶望を思い出し、自暴自棄になり、壊れてしまいそうになる。主様、どうか彼らを止めてあげてください。彼らには貴方しかいないのです。悪魔化してしまう前に、貴方の言葉で救ってください。彼等の心の中に入り、貴方の言葉で……。
別邸1階
💮
『主様……?はは、こんな情けないところ、見るなよ。俺を、見るな……っ!!』
『ハナマル……。』
『ガキ共が死んだのは俺のせいだ。必ず守るって誓ったのに。俺は守れなかったんだよ。今でも夢に見るんだ。あいつらのこと。』
どうして助けてくれなかったの。痛いよ、助けて、ハナマル――。って、蝕むんだ。俺の心。 を。
『ハナマルのせいなんかじゃ……』
『……何も知らないくせに。』
『っ……。』
『俺があの時出掛けてなければあいつらは死ぬこと無かったんだ。そうだ。俺も一緒に死ねば良かったんだ。』
『…わないで。』
『あ……?』
『そんなこと、言わないでよ。』
ドンッ!
ハナマルは私を押し倒して胸ぐらを抑え込む。
『何も知らないくせに…好き勝手言うんじゃねぇよ!俺も一緒に……あいつらのところに逝けば良かったんだ。俺の目の前で…天使に壊された。大切な命を……。その痛みも苦しみも…何も分からないのに……。』
『…私は、確かに何も知らない。ハナマルの過去の事、全部知ってるわけじゃないから…。
それでも、何も知らなくても…傍にいることはできる。』
グイッ!
ハナマルの手を掴んで握り締める。
『こうして、傍にいて…一緒に泣くこともできるのよ。』
『あるじ、さま……。』
『私はハナマルの前から居なくなったりしない。ずっとここにいるから。』
『っ…主様……っ。』
☂️
『私がもっと綿密な計画を練っていれば…父上も、母上も、村のみんなも…失わずに住んだのに。私のせい、私のせいで――!!』
『ユーハン…。』
私の事をきっと許さないでしょう。憎んで憎んで…私の事を……。
『ユーハン…もう、自分を責めないで。』
『主様……?どうしてここに…?ふっ…私のことを止めに来たのですか。私はもう…戻りません。ここで死んで家族の元へ逝きます。』
『…ユーハンらしくないわね。約束忘れたつもり?』
『え……。』
ユーハンの胸ぐらを掴んで目を見て叫んだ。
『復讐も果たしてないのに…勝手に死ぬつもり?そんなの、許さないわ。私と貴方で…あいつに…サルディス・フブキに復讐するって決めたじゃない!男に二言は無いんでしょう?それなら…最後まで守り抜きなさいよ。』
『主様……。』
ユーハンをそっと抱きしめる。
『今は私しかいないわ。沢山泣いて、ね。』
『っ、うぅ、主様……っ。』
『辛かったわね…もう大丈夫よ…。』
『はい…っ。主様……。』
🧸
『俺は自分が何者か分からないんです。兄貴が死んでからは兄貴と成り代わって生きてきましたから。本当の俺がなんなのか…。分からないんですよ。兄貴は俺を庇って死んだ…。俺の家族も知能天使に捕まって死んだ…それも全部、俺が弱いから……。もっと、もっと強ければ失わずに済んだのに――!!』
『テディ…。テディは悪くないよ…。』
『俺のせいなんです!』
ブワッとテディの背後の黒いモヤが広がる。
『っ…!』
『何者でもない俺のことを主様はもう傍には置いてくれないでしょう…?俺なんか…もう悪魔化してしまえば…。』
『ふざけないでよ…!』
バチンッ!
気付けばテディの頬を叩いていた。
『主様……。』
『貴方が何者じゃない?そんなの関係ない!私は、テディが死ぬのなんて絶対嫌だ!貴方が生きていないと私が嫌なの!死んでしまえばいいなんて二度と言わないで…っ。』
(主様……俺の為に泣いてくれてる…。)
『ぐすっ。テディのバカ…っ。』
『すみません…俺らしくないですよね…。』
俺は涙を拭って主様に手を差し出す。
『帰りましょう。主様。』
『テディ…。』
『俺、もっと強くなります!それで、主様を守りますから!』
本邸2階
✝️
『俺の愚かな行動が…最愛のトリシアを失ってしまった。そして、また俺は貴方を危険に晒してしまった。トリシアを死なせたのは俺が貴族に対してあんなことを……。』
(ハウレスが今絶望に飲み込まれそうなのは、妹の…トリシアさんのことを思い出しているからだ。)
『私はここにいるよ。トリシアさんのことだって、ハウレスのせいなんかじゃないんだよ。あれば全部…。』
『わかっています…でも、俺は……。』
(黒いモヤが…強くなった…。)
私はハウレスを抱き締める。
『あるじ、さま…。』
『ハウレス。私は死なないよ。天使を殲滅するまではね。誰かのせいで死んだりもしない。ずっと皆のそばにいる。トリシアさんのことも、私のことも、ハウレスは悪くないんだよ。ずっと…そう思い続けてきたんだよね…?』
優しくハウレスを撫でる。
『っ……。』
『よしよし…辛かったね…。私はここにいるから…。』
『あるじさま…っ。はい…っ。』
ハウレスは強く私の服を握り締める。
彼の涙が私の服に染み込んだ。熱く、だけど冷たく。
『すみません、今だけ…もう少しだけ…っ。』
🦾
『主様はどうして俺を止めるんだ。せっかく俺は母さんとばあちゃんに会いに逝くっていうのに。』
『っ、止めるに決まってる。死ぬつもりでしょ。』
『俺が死んだら主様も死ぬ…そうだな。主様もここで死んだら俺も死ぬんだよな。それなら…。主様も一緒に来てくれるか?』
『……。』
(壊れかけてる。ボスキが…ボスキじゃなくなってしまう。)
『私は…今は死にたくないし…死ねない。』
ボスキの手を掴みこっちへ連れ戻す。
『っ!』
『…ボスキらしくないよ。いつものボスキは…私の知ってるボスキは…こんなんじゃない。ねぇ、ボスキ。私が死ぬ時は…みんなともっと色んな思い出を作って、沢山色んなものを見て、おばあちゃんになって…寿命を迎えるときだから。こんな所で死なせないよ。』
『主様…。』
『お婆さんとお母さんを失った悲しみはよく分かるよ…だから…。』
私はボスキを両手で包み込み、抱き締めた。
『私の前では……今泣いていいよ。』
『っ…本当、敵わねぇよ。主様には。』
🦋
『…俺は、今も昔も弱いままです。鍛えて強くなったのは身体だけで……。心はずっと、弱い俺のままです。』
フェネスは牢屋の中からそう呟く。
『フェネスは弱くなんてないわ。誰よりも強い優しさと心を持ってる。』
『役立たず俺なんて…要らないんです。』
『役立たずなんかじゃないわ。フェネスはね…』
フェネスが入ってる檻の柵を掴む。
『記憶力が良くて…力持ちで、優しくて…物知りで…その大きな身体でいつもみんなを守ってくれる。私のことも癒してくれる…。そんなフェネスが私は大好きよ。』
『主様……。』
『だから、戻ってきて。』
『……っ。』
ゆっくりとフェネスは手を伸ばした。
だけど――。
『お前だけ生き残るのか。姉だけが死んで、お前だけ……。』
『フェネクス…っ。うぁ…違う、俺は……。姉さんのことを…』
(フェネクスってフェネスの契約悪魔…
まさか、脳内に語りかけて……。)
『俺のせいだ、俺の……。』
『……。』
『主様。俺は…戻れません。いまここで死んだ方が……。』
『その檻に…鍵なんてついてないんだよ。フェネス。』
『え?』
『貴方はただ囚われてるだけ。自分の檻に。 』
私はフェネスに手を差し述べる。
『辛いなら…私が一緒に泣いてあげるから。』
『主様…。』
ゆっくりと私の手を握る。
檻はゆっくりと壊れていく。
『優しすぎますよ…主様。』
『おいで、フェネス。』
フェネスに手を広げて抱きしめる。
『っ……。すみません…っ。主様…っ。』
🌹
『おれ、本当は分かってるんすよ。2階の執事の中で1番俺が弱いってこと。あの3人からしたら俺は1番弱い……。ハウレスさんが悪魔化した時俺は何も出来なかった。』
『そんなこと…っ。』
『俺が弱いのなんて分かってるんすよ!』
ぶわっ!
アモンを取り囲む黒いモヤが茨に変わる。
『い…っ!』
鋭い棘が私の手に絡まりつく。
(これが、アモンの痛みだって言うの…?
この、鋭い痛みが……。)
『この中にいれば俺は楽になれるんす。あの3人と肩を並べる必要もなく…。』
茨の蔓が…アモンを取り囲む。
『っ…。』
私は剣で茨を切ろうとした。
(アモンの痛みを私が知る為には…これじゃダメだわ。)
剣を捨てて私は茨を手で引っ張る。
ザクッ!
『いっ……。』
『!?主様…!?何してるんすか、そんなことしたら……っ!』
『傷だらけになる。って…?そんなの関係ないわ。』
ポタっ。
『この痛みを知らないと…アモンのことを救えないと思ったからよ…。』
茨の棘が私に刺さり、血が滴る。
『なんで、俺のためにそこまで……。』
『アモンは私の大切な執事だから。それ以外に…理由が必要?』
『っ……。』
(主様は…優しすぎるっすよ。俺のために、ここまで……。)
ブチッ!
『さぁ、アモン。』
『…っ。』
『悲しいなら、一緒に泣くわ。辛いなら傍にいる。アモンを1人になんてしない。』
差し出された手をそっと握る。
『主様……ごめんなさいっす…。』
『帰ったら手当しなきゃね。』
『主様…あの……』
『…うん。いいよ。』
泣きそうなアモンを抱き締めた。
『よしよし…。』
『っ……うっ、く…ぅ。』
本邸3階
🍷
『こんな私でも救ってくださるんですか?主様は。今まで沢山の命を切り捨ててきた私ですよ。命に区別をつけて…。命を見捨ててきた…。恨まれて当然です。』
ルカスは腰のところのタトゥーに目をやる。
『私の罪の証です。ずっと消えない…私の罪です。』
『…失った命は二度と戻れない。それは当たり前のこと…だからこそ――。』
私はルカス手を握る。
『救えなかった命の分…これから沢山救っていけばいい。失った命の分…救えばいい。ルカスにはそれができる。だから…戻ってきて。』
『主様……。こんな私を傍に置いてくださるんですか…?』
『うん。私はみんなの命を救ってくれるルカスが好きだから。どんな時も…私も、執事のみんなも助けてくれる。これからも…一緒にいて欲しいから。』
『主様……。』
ルカスは私の肩にもたれかかる。
『ルカス……。』
『申し訳ございません…。少しだけ…こうさせてください。』
『えぇ。もちろん。』
『……ぐすっ。』
🗝
『穢れた私の傍にいたら主様まで穢れてしまいます。お願いです。もう私に近付かないで下さい。』
ナックはその場に座り込んで頭を抱える。
『ナック…。』
『この手で……沢山の命を奪ってきた…
血で穢れた私は主様の傍にいるのに相応しくありません。』
『そんなことない…!』
『!』
『ナックは…強くて、優しくて…いつも私の事を一番に考えてくれる…そんなナックが穢れてるなんて誰も思わない…私が言わせない!ナックが穢れてるなんて……。』
ナックの手を握る。
『っ、主様……。』
穢れた手が浄化されるような……そんな気がした。
『ナックがそう思うなら…私がナックを綺麗にする。ナックは穢れてなんかない。』
『主様……。』
『帰ろう?屋敷に。』
『主様…。はい…っ。』
⭐️
『1人にしないで…もう、暗いのは嫌だよ……っ。1人にしないで……。』
心の中にいたラムリは泣いていた。
しゃがみこんで…子供のように。
『ラム――。』
と、声をかけようとした時だった。
『やめてあげて。』
後ろから声をかけられる。
『!』
(幼少期のラムリ…?)
『もう、放っておいてあげて。1人にしてあげた方が…楽になれる。』
『っ、何言ってるの、1人にしないでって泣いてるのに?』
『……絶望に飲み込まれて悪魔化した方が彼の為だから。』
『っ…貴方、ラムリの契約悪魔…?』
『クスッ。そうだって言ったら?』
※ラムリの契約悪魔は公式で発表されてないので捏造です。
『悪魔に止められても…私は絶対ラムリを助けるから。』
『考えてもみて?彼は執事の中で弱い方だ。そんな彼がこれから先天使と戦っていけると思う?強い天使も現れた今…勝ち目なんて彼にないよ。』
『…そんなの、関係ない。私は強い弱いとかどうでもいい。ラムリが私に必要だから。ラムリがいないと、嫌だから助けるの。』
悪魔にそう言い放ちラムリの元に走る。
『ラムリ!』
『あ、主様……?』
ラムリを抱き締める。
ギュッ。
『1人にしないよ。ずっと傍にいるから。』
『主様…っ。はい……っ。』
ラムリは私を強く抱き締め返した。
『大好き、です…っ。主様…っ。』
次回、後編へ続く
コメント
6件
やっぱりぷちさんの絶望系大好きです…😭 もう全員私が守るわ(?)
あーもう、めっちゃグッときた…。執事たちの心の闇がそれぞれ違って、でも共通して「過去の自分を責めてる」ってところが痛いほど伝わってきた。特にアモンの茨を主様が自分の手で掴んだシーン、あれはガチ。痛みを知らないと救えないってスタンス、めちゃくちゃ好き。ラムリのところで出てきた契約悪魔(捏造って書いてあったけど)との対話も良かったな。「強い弱い関係ない」って言い切る主様、かっこよすぎる。後編めっちゃ気になるわ🔥