テラーノベル
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─堕とさないと出られない館に閉じ込められました─
注意喚起
・御本人様とは一切関係ありません
・BL(R18にはならないはず)
・zmさん総受け
・現mzybのメンバーのみ登場します
閲覧はあくまで自己責任でお願いします。
前回に引き続き相変わらずですわ〜!
◇3ターン目
『王様だーれだ!』
「・・・・おっ、俺やわ」
ぴらりと札を掲げたのは、どこか落ち着いた笑みを浮かべるトントン。
「来たなとんち!」
「・・・優しい命令で頼みますよ、ほんまに」
警戒の眼差しを向ける面々に、トントンはふっと目を細めた。
あの笑顔は優しいと見せかけて、何かを企んでるときのやつだ。
「ふむ・・・せやなぁ」
軽く腕を組んで考える。
いつものように平和を保つなら、ちょっとした無茶ぶりで済むところだが───今日は流れが違う。
ここで下手に気を抜くと、王様ゲームのスリルという名の宴が尻すぼみになってしまう。
トントンは静かに札を見渡し、やがて柔らかく告げた。
「────3番が、4番の良いところ10個言う。語尾に“にゃん”つけて」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
場が静まり返ったあと、一拍置いて歓声が上がった。
「おーい、にゃんって!!それはあかんて!!」
「精神的に死ぬ系やんけ!!!」
「誰が地雷踏んだんや、名乗り出ぇ〜」
笑いと共に、順に番号が確認される。
「・・・・はい、3番はわたしです」
冷めた目で札を掲げたのはエーミール。地味に一番恥ずかしがりそうなやつ。
「・・・ということは、4番は──?」
「・・・・・・あ、おれか」
ゆるく手を挙げたのは、他でもないゾム。さっきの反応が嘘のような気だるげボイス。
「・・・え?え?これ逆じゃなくて?」
「逆やったら逆で地獄やぞ」
「・・・・・・しゃあない」
エーミールは立ち上がり、スッとゾムの前にしゃがむ。
部屋にただよう謎の緊張感。
「・・・ゾムさんのええとこ、10個」
「お、おう」
「・・・・優しいにゃん」
「・・・・ふ、ふつうにかっこいいにゃん」
「・・・・声がいいにゃん」
「なんか地味に照れるんやけど!!」
「いやこっちの方ががキツいんだわ・・・!」
ふたりの間にだけ流れる、妙なピュア空気。
周りはというと、笑いをこらえる組(大先生・シャオロン)、
スマホでしっかり録画してる組(ショッピ)、
目を閉じて静かに見守る組(トントン)と、
まるで卒業式のような多様な表情が浮かんでいた。
「・・・・ま、まぁ、そういうとこ真面目にやってくれるのはエミさんの良いとこやな」
「・・・意外と不器用にゃん」
「それ褒めとるのか貶してんのかどっちやねん!!」
最終的にちゃんと10個言い切り、エーミールは静かに自害しそうな顔で座り込んだ。
トントンはと言えば、涼しい顔でお茶をすする。
「このゲームおもろいな!さすが俺!!」
エミ虐を楽しむ面々。血も涙もない。
ちなみにもちろん動画は出回った。
◇4ターン目
『王様だーれだ!』
「──俺や!!」
景気よく札を掲げたのはゾムだった。目をキラッキラに輝かせ、妙にテンションが高い。
「おっ、やったやん〜」
「テンション怖。なんかあったん?」
「あるに決まってるやろがァ!!」
ソファに座ったまま、ゾムは勢いよく立ち上がって一回転。
「今までの地獄・・・!!くすぐられたり変なこと言われたり!!」
「・・・え、そんな軽いノリ?」
「今更やんけ」
一同が一斉にツッコミの視線を浴びせる中、ゾムはめげない。
むしろ今が人生のピークみたいな顔で、胸を張った。
「今までの俺は、ただ受け身でぺちぺちくすぐられてただけや・・・! けどな、それじゃ意味がないんや!!」
「じゃあ何、ゾムさん的には今から“攻める”ってこと?」
「そゆこと!」
────さて、ここまで大口を叩いているわけだが、流石に大事な意味がある。
そう、本来の目的、「堕とすまで出られない」ということだ。
ぶっちゃけこんな野郎どもと一緒に住んでても、おもんない・・・わけじゃないけど、うーん、なんか新鮮な空気が足りないっていうか!
そうゾムは考えていたのだ。
流石に堕とそうとして命令出すとかいくらエロ小僧でも無理だった。ので本音は隠して行動する。
「さあ命令言うで。聞いて驚け・・・・・・今回の命令は───」
ゾムがひと呼吸おく。
「───1番と5番、俺のほっぺにちゅーしろ!!」
「・・・・・は???」
何かが弾ける音が聞こえた。
シャオロンが水飲んでたら全噴射してたレベルのリアクションである。
「お前っ・・・・・・なに言い出しとんねん!? 逆襲の方向おかしいやろが!!」
「は、はぁ!?何処がやねん!野郎にキスやで?地獄やろ!!」
トントンが無言でおでこに手を当てた。
「ま、まあまあ・・・・・・命令は絶対やしな。誰や、1番と5番・・・」
恐る恐る、みんなが札を見る。
「──俺、5番やな」
「うわー・・・わい1番か・・・・・・」
静かに手を挙げたのは、大先生とトントンだった。
\\\ 空気が止まる ///
「・・・・・・・・終わった」
ゾムが一番最初に真顔になって呟いた。
「ちょ、ま──落ち着こう、命令ってのはさぁ、もっとこう・・・・・・軽いノリで・・・っ」
「軽いノリで言ったんやろ?」
トントンがスッと立ち上がって、ゾムの顎に指を添える。
「わ、ちょ、なんで急に色気出してんねんやめろてほんまにッッ」
「ゾムさんが命令したんやで?受け取らなあかんやろ」
ぐいっと顔を近づけられて、ゾムはソファに沈む。
大先生はゆっくりしゃがみ込む。
ソファのひじ掛けに手を添えて、笑顔のまま顔を寄せてきた。
「・・・・じゃ、右のほっぺ、いただきまーす♡」
「は、はぁ!? ちょ──」
唇が、ゾムの頬に触れた。
「・・・・ぁ゛・・・・・・っ」
息が、詰まった。
くすぐったいのとは違う。
それは、やわらかくて、温かくて、ふわっと甘い刺激。
「次、俺な」
今度は、低くて静かな声。
ゾムの首元を、トントンの指がなぞる。
頬に届く直前、呼吸がふっと耳元に触れた。
「ん、゛ッ───っ」
ちゅ、と吸いつかれるような音がした。
いやそれはおかしくない??ちゅーじゃないよぢゅーだよ!!byシャオロン
「ひゃ、ん・・・・・・ッ!!?」
ゾムの肩がビクリと跳ねた。
背筋を駆け上がる、ゾワッとした快感。
「え、ちょ・・・なにこれ・・・・・・」
「・・・・・堕ちた?」
大先生が冗談めかして笑う。
ゾムは、赤い顔のまま、ぺたんとソファに座り込んだ。
きゅうとゾムの身体が小さくなる。怯えているような反応が可愛らしい。不覚にもトントンはそう思った。
悪戯心を刺激されたトントンは、頬から放した唇を小じんまりした耳に寄せて、息を吹き込むように、囁く。
「・・・・・・このままキスしてええ?
嫌やったら止めてもええよ。でも、止めなかったら、責任取ってな?」
ぼっと、火のついたように触れた頬が耳がまっかに染まっていく。
とっさに動いた腕でゾムはトントンの身体を突き飛ばした。熱を持つ耳元を手でギュッと押さえて、羞恥に潤んだ瞳で睨みつける。
トントンは薄ら笑いを浮かべたまま、小さく舌なめずりをした。
「〜〜〜っ、ばかぁ・・・・・!!」
そんな威力の無い罵声になおさらトントンはくつくつと笑って見せた。
そんなどこかほのぼのとした空気とは対極に・・・
「ちょっと手ぇ離してくれません?えみさん」
「だ、駄目ですよ!放したらショッピくん何するつもりやねん・・・!」
「大丈夫、ちょ〜っと黙らせるためにトマホーク撃ち込むくらいですよ」
「何処か大丈夫やねんっ!!」
あーもうこれだから嫉妬深い男は!!そうエミさんの叫ぶ声が聞こえる。
まだシャオロンはいい。端っこで嫉妬しつつ録画を再生してるのでまだ可愛いもんだ(?)。
きゃいきゃいと騒ぐ二人と、甘ったるい雰囲気の流れる三人。
シャオロンは考えた。
・・・え、さすがにおかしない?俺一回もゾムといちゃこらできてへんやん、え??
こちらも脳内では荒れまくっていたようだ。
「〜〜〜ッ!!はよ次のターン!俺も王様やりたい!!!」
「おわっシャオちゃんいつからそこに!?」
「・・・あー、確かに。」
「いーや次に王様になるのは俺だね!!」
「ショッピくんキャラ崩壊えぐない!?」
「・・・・・・??」
我が身に降りかかった厄災も過ぎ去り、ゾムは一息ついてから騒ぐ五人を見つめる。
・・・堕とすつもりだったのに。なんか違くなった。
周知の事実だとは思うがゾムに攻めの素質はなかったのだ。
そんなこんなで考えを張り巡らせていたそんな時。
ぐぅ〜、と小さく間延びした音が腹からなった。
「・・・・・っっ!!」
聞かれてない?聞かれてないなよっしゃせーふ!!!
それもそのはず、すでにゾムが起きてから2時間は経過している。立派に昼ごはんの時間だ。
「・・・とんとーん?そろそろお昼や。」
「・・・・・あ、ほんまやん」
なんかショッピくんに睨まれた気がするけど気のせいか。
「はーいお前らそろそろ飯や。一旦自室へ帰れー」
「は?ゾムさんと二人っきりになろうと・・・??」
「ちっげーよばーか!」
なんかよく分からないけど楽しく内ゲバする面々が楽しそうで、ちょっぴり羨ましくなったゾムさんでした。
ちゃんちゃん!
◇
いやー終わり方?何それ美味しいの??
ってかんじっすね。
しゃおしょぴには延々に不憫であって欲しいので王様にはしませんでした。いや普通に書くの大変だったのもある。
深夜投稿卍
久しぶりに4000文字超えた・・・
コメント
14件
イチャコラが入る度にこちらもドキドキしちゃうお😘
可愛かったわ〜笑 ビクて!可愛すぎだよ〜!反応! ショッピ君は何しようとしてたんだろ 続き楽しみ✨️(´。✪ω✪。 ` )
ありがとうございます。