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「おはよー!フブキ♪」
まつりの声が、朝の冷たい空気ん中響いた。 吐く息が、ちょっと白く漂う。 学園までの道、いつも通りやけど、なんか空気が重い。
「ん、おはよ、まつりちゃん…」
フブキが、かすれた声で返した。 目元が、うっすら赤く腫れとる。 …泣いとったんや。
「え、フブキ、泣いとると? どーしたのさ、話してみ?」
まつりは、思わず一歩近づいた。 フブキの顔、いつもより弱々しくて、胸がギュッとなる。
「飼ってた犬が…死んじゃったの…」
フブキの声、震えとる。 唇を噛みしめて、なんとか涙こらえようとしとるのがわかる。
「そ、そーなん…」
まつりは、言葉につまった。 なんちゃ薄っぺらい返事しかできん。 けど、フブキの隣に立って、ただ黙って寄り添った。
――キキーッ!!
突然、耳を劈くようなブレーキ音。 空気を切り裂くみたいに鋭い。 まつりは目を見開いて、足がすくんだ。
「っ!?」
反射的に身を引く。 けど、なんも起こらん。 ただの音やった。 …なのに、胸が締めつけられるような、嫌な予感。
「…夢?」
目が覚めると、頭の奥に鈍い痛みが広がっとった。
「なんや…この夢、めっちゃリアルやん…」
まつりは布団を跳ね除けて、なんとかその不気味な感覚を振り払おうとした。 別に気にせんでええ。 ただの夢や。 悪い夢。
制服に袖を通し、髪をサイドテールにまとめて、鞄を引っ掴んだ。 「ただの夢!」 と自分に言い聞かせて、家を飛び出した。