「ここが昼寝スポットパート1!」
「オメーどうやってこんな場所みつけたんだよ」
新一と快斗は、しばらく使われていない廃墟のような教室に来ていた。
「歩いてたら見つけたんだよな〜昼寝にはぴったりな場所だろ?」
「それはそうだな」
なんなら今からサボって寝るか?と快斗が冗談交じりに言うと、新一も名案だな、と呟く。
「昼寝するにしてもソファ、一つしかないけどどうする?」
快斗が問うと、新一は一緒に寝るしかねーだろ、と答える。
「きつきつになっちまうぜ…?」
「俺は別に気にしねーし」
そこら辺の女子より可愛いせいでつい気にしちゃうんだよ!という思いは心の中にしまっておき、仕方なく二人は横並びの川の字状態になり寝転ぶ。
「…オレやっぱり床で寝ようか?」
「いや、ここにいてくれよ。なんとなく安心する」
無自覚も大概にしてくれよ…と心の中でツッコミを入れ、仕方なく背同士を合わせる形で眠った。
(怪盗キッドの骨格と瓜二つだ。)
己の美貌を捜査に利用していることも多々ある新一が、快斗を試すようなマネをしていたことを知る由もなく…
時刻は13時頃。本校舎の方から賑やかな声がきこえてくる。昼休みなのだろう。
(転校初日からさぼりはやらかした…久しぶりに熟睡しちまった)
ここまでさぼるつもりがなかった新一は、初日の印象が重要であったのに、と慌てて快斗を起こそうとする。
「おい、黒羽。起きろ」
「あともうちょい…」
「流石にこれ以上サボるのはまずいだろ」
新一の言葉に快斗首を傾げながら呟く。
「オレたち一応早退したことになってるんだけど…」
「…は?早退?」
快斗の想定外の答えに新一は唖然とする。
「だーかーら、早退ってことにしといてやったって言ってんの!」
「オメー、そんな時間あったか?」
「さあ?どうだろーな」
ケケケ、と人懐っこい笑い方をする黒羽に、流石はキッドだと感嘆する。
「じゃあ黒羽、もうちょい寝るか?」
「ああ、まだ眠い…」
次に目が覚めたのは日が沈みかけた時間のことであった。
その日の夜、快斗はいつも通り隣の家の住人、中森青子から呼び出しをくらった。
「…オメー、こ、これはなんだよ!」
「どう見たって刺し身じゃないの!お父さんの仕事でお世話になった人が漁師さんで、お礼として沢山お裾分けを貰ったみたい!」
「それにしてもわざわざこんな大量に出すことねーじゃねえかよ!」
ダイニングテーブル一面に、マグロの刺し身、鯛の刺身、ハマチの刺し身など豊富な種類の刺し身が並べられていた。
「仕方ないじゃない!鮮度が落ちると嫌でしょ?それに、今日学校をサボってたからその罰よ!」
「早退したくてしたわけじゃねえっつーの…」
ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべる青子に対し、ハハ、と空笑いをこぼした快斗は、テーブルの上に広がっている魚を必死に平らげていく。
「なんでよりによって漁師…魚…はあ…」
青子もオレが魚嫌いなこと知ってるくせに、とぼやく。
「あっそういえば、次の怪盗キッドの舞台は旅客船なんだよね?白馬くんに青子と快斗もどうかーって言われたの」
「は?あいつが?」
「そうそう。快斗は来られるだろうって」
(はっそりゃ予告をだしたのはオレだしな。)
白馬は怪盗キッドの正体を黒羽快斗だと踏んでいる。この宣戦布告ともとれる申し出を拒んでも、受け入れて予告を取り下げても更に怪しまれてしまう。
となると、残る選択肢は一つしかない。
「行ってやるよ、白馬!」
白馬の目の前で証明してやるよ。この怪盗キッドに不可能はないってことをな!!
続く
コメント
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何なに〜?新一無自覚なの〜?って思ったらこれも策略の一つだったの!?うわあ……、こりゃ油断出来ないぞ……💦 でも、早退って言ってサボらせてくれたのは嬉しいね!!ただ新一には最初のうちに言っとけよ……って思うけどね……😂😂 白馬にキッドには不可能はない、ってことを証明するのはいいけど少し不安だな……案外新一も首突っ込んできそうだし……何事もなく終わればいいんだけど……
初コメ失礼します! 主様の作品、滅茶苦茶性癖に当たりました…() これからも頑張って下さい!