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エルフとダークエルフの争いから、一年以上の時が経ったある日。
「うーん。今日も天気がいいなぁ!」
「春だからね。それにしても良い結婚式だったわね」
「うん。でもバーンナッドさんはめちゃくちゃ緊張してたね!僕、笑いそうになっちゃったよ」
初めて・・・の結婚式だった為、あがっていたようだ。
「ママ…幸せそうだったわ」
「そうだね。レイラさんの良さが、漸くエルフの皆にわかってもらえて良かったよ」
「ママが認められたのは、ママも言っていた通りレビンのお陰よ」
二人がいるのは復興を終えたエルフの国だ。
今日はエルフに受け入れられたレイラと国王であるバーンナッドの結婚式だったのだ。
この世界では王侯貴族を除く人族には結婚式などない。
しかし、エルフにはあったのだ。
レビンが言っていた通りエルフに受け入れられたレイラにバーンナッドが再度求婚し、エルフ式の結婚式を執り行ったところだ。
「僕は何もしてないよ。それよりも…ミルキィがお姫様になっちゃった」
「なによ…その嫌そうな顔は。どうせ私はレビンの想像しているお姫様とは全然違うわよ!」
「ううん。そうじゃなくて。ミルキィはお姫様の中のお姫様っていうくらい似合ってるよ。
僕が心配なのは、何だか遠い存在になりそうだから…」
レビンは幼馴染が知らない人になってしまう気がしていた。
「私はどこにも行かないわよ。何も変わらないわ」
ミルキィはそう言うが、レビンには気掛かりがあった。
それはバーンナッドの話からだ。
『エルフの王族も人族の貴族みたいに政略結婚があるんですか…それは大変ですね』
『ああ。私もそれが嫌で国を飛び出したんだ。それで出会ったのがレイラだったというわけさ』
以前、世間話の延長で聞いたバーンナッドの出奔の理由だ。もちろんそれだけが理由ではないが、これも大きな理由の一つだ。
この結婚により、レビンはその時の話を思い出していたのだ。
(ミルキィも結婚しちゃうのかな?お姫様なんだから当然だよね…)
もしそうだとしても、寿命の長いヴァンパイアやエルフの適齢期はまだ先になる。
しかし、短命な人族の一般的な感覚からすれば、ミルキィの年齢は決して早過ぎではない。
適齢期自体はまだ先だが、16.17歳の結婚はザラにあるのだ。
「もしさ…」
「なによ?」
「もし、ミルキィが結婚するなら、命の短い人族は嫌だよね?」
レビンは自分の事より幼馴染の事を常に心配して来た。
これはお互い様でもあるが、時としてそれは邪魔にもなる。
レビンはこの一年…いや、旅に出てからの二年で、幼馴染に対する想いが変化していることに気付いていた。
気付いたレビンはミルキィの考えを知りたかった。
一部の人達から魔王と呼ばれる強さを誇るレビンであるが、今は酷く怯えていてその威容は感じられない。
恐る恐る幼馴染の反応を伺う。
そんな怯える魔王に、吸血姫は堂々と答える。
「嫌じゃないわ。もちろん看取るのは辛いわ。同じように歳を取れないのも。
でもね。長命種でも短命種でも最後はみんな死ぬの。
それなら長さは大事ではないわ。
誰と居たか。どれだけ愛せたか。
私はそれを大切にしたいの。だから、レビンがいいわ」
ミルキィは短気だ。色々ともう待てなくなっていた。
待てないミルキィは、秘めた想いを言葉にして初めて伝える。
「結婚するのも、旅をするのも、レビンじゃないと…嫌」
気が短いミルキィだが、レビンの心の成長を待った。
そして、今なら自分の気持ちが伝わると、父と母の幸せな結婚式を見て勇気づけられた。
後はこの想いの行方。
「僕は…」
サァー
そこに一陣の風が吹く。結婚式の為に用意された花が、二人の間に花びらを飛ばした。
レベル
レビン:79→75(206)
ミルキィ:1→32(131)
〓〓〓〓〓〓〓〓完〓〓〓〓〓〓〓〓
後書き。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
キリがいいのでこれにて完結にしたいと思います。
沢山伏線(?)を残してあるので、続きの構想だけはあります。
魔族の国。魔王種について。赤髪のヴァンパイアについて。
殆ど描写のなかった獣人族やドワーフ。
もちろん最大のところは、二人がどうなったのか。
初期の予定では倍以上は書く予定でしたがキリがいいので…
伏線も想像の余地も沢山残しているので、良ければ皆様で考察して頂けると、この拙作もうかばれると思います。
答えも人生も一つではないと愚考する次第です。
読んでいただき、ありがとうございました。
他の小説も幾つか投稿し始めているので、ふたりぼっちのページから選んでもらい、そちらも読んで頂けると幸いです。
この小説に近いのは…先に完結した『容疑者は勇者』か『ぼっちの月の神様の使徒』ではないかなと思います。
もちろん別の小説も読んで欲しいのですが……
では、皆様。
また別の場所でお会いできることを願い。
多謝。