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〈kiriyan side〉
sm 「きりやん、、、もし数年後もずっと俺のことが好きならーーーー。」
kr 「、、、っは」ハァッハァッ
ーーーピピピピッ、ピピピピッ
kr 「朝かー、起きなきゃ。」
あの言葉は約束ではない。
呪いだ。
あの日、そう残してからは穏やかにあちらの世界へと溶けていった。
暑く熱をもつ心臓にはぽっかりと穴ができたみたいで、血も出ていないのにすごく痛い。
俺の頭にはあの時の情景がべったりと張り付いて、卒業式を迎えた今日まで毎晩のように彼の言葉が繰り返されている。
nk 「はよー」
kr 「おはよ 」
br 「ついに卒業だって、、寂しいよぉ」
きんさん捨てないでぇ、、、と泣きつく姿に呆れながらも手を離さない二人の関係に何故だか憧れを持った。
kn 「シャークんとか絶対泣くでしょ」
sh 「いや泣かないよ?」
nk 「しゃけは静かに泣くもんなー笑」
毎日が眩しかった学生生活も今日で終わり。
そして、彼の香りが残るこの校舎に居れるのも今日が最後になる。
あの日以来、俺は人生の目標が決まりはしたが、それを彼に伝えることもできずにこの日を迎えてしまった。
そして今日も男子便所へと向かい、いつものように思い出に浸る。
kr 「なぁ、本当はそっち側にいるんだよな?」
自分を嫌なほど反射して写し出す鏡を前にして問いかけた。
答えなんて返ってくることに期待はしていない。ただ、その先にいるんだろうと思うだけで少しだけ気持ちが楽になれる気がした。
kr 「俺らもう卒業だってさ笑」
kr 「また絶対に会いにくる。あの言葉、忘れてないからな。」
ーーー
kr 「っ、!」
kr「、、、、気のせいか」
懐かしい声が聞こえた気がして振り返ったが、そこはただのトイレのドアでしかなくて、彼の姿の面影すらなかった。
kr 「それじゃあ、しばらくのお別れだよ。」
kr 「またね。スマイル」
…………………………………………………*
「あぁ。また今度」
〈smile side〉
こんなことを呟いたって彼には届かない。
それはこの世界に来てから毎日を過ごす上で苦しいほど理解していた。
どんなに声を上げても彼は俺を見つめないし、すれ違う生徒たちは俺を見向きもしない。
たまに見て見ぬ振りをしているような人もいたが、その視線はあまりいいものとは思えなかった。
そうか、これが死んだものとして生きるということなのか。
ふぅ、なんだか疲れた。
きっとあいつが俺を引っ張り起こすまで、しばらくの間はここで眠ろう。
ドアがノックされる。
俺の名前が呼ばれる。
返事をする。
ゆっくりと扉が開いて、大きく見開いた瞳が俺をとらえる。
sm 「呼んだ?」
sm 「、、驚いてるみたいだね無理もないか」
sm 「俺?あぁ、俺はそう。」
sm 「七不思議の怪異さんだよ」
…………………………………………………*
七不思議の長は死んだ。
大切な友人も、亡き者となった。
いや元から亡き者だった。
それでもこの白尾学園には、今日も彼岸に近いものたちを誘っているように見えた。
止まない雨はやがて溢れ、広々とした校庭は海のようになる。
その姿はあの日見た彼岸とよく似ているような気がして嫌な予感が頭をよぎる。
学園内は絶えず噂が飛び交い、面白くしようと新しいものへと歪んでいく。
彼岸と此岸の壁は作られた。
だから以前とは違って「噂はやはり嘘であった」と処理されていたが、それでも絶えない噂話にうんざりする。
何も変わらない。
毎日のように降り注ぐ雨が止み、日差しが顔を出しても。暑いと文句を垂れるグラウンドの木陰の下も。物置と変わって静かに人を待つあの空き教室も。
噂を垂れ流して繰り返されること生活も。
生徒 「先生ばいばーい」
kr 「先生にタメ口を聞かないの。はい、さようなら」
そう、何年経っても変わりやしない。
この学園も
俺も
彼も。
kr 「久しぶりだね。」
sm 「あぁ」
大丈夫、今度はちゃんと声が届いた。
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