ハッピーエンド版 です 🙌🏻🎀
次の日。
ないこのツイートを見たリスナーから、異変を知らせる声が殺到していた。
「やばい……! ないくんが……!」
「今すぐ行かなきゃ!」
「急げ……!」
5人は走った。
息が切れるほどに、ただ一心に。
玄関の扉を叩き、名前を叫ぶ。
「ないこ! 開けろや! 頼む、返事してくれ!」
「おい、ないこ! 俺らや! なぁ、聞こえるか!」
中からは何の音も返ってこない。
胸の奥を冷たいものが走った――だが、りうらは迷わず合鍵を差し込んだ。
扉を開けた瞬間、部屋の中の光景に全員が凍りついた。
机の上にはノートと通帳。
ベッドには痩せ細ったないこが、虚ろな目で天井を見上げていた。
「ないくん!」
彼は飛び込むようにベッドに駆け寄りないこの手を握った。
その手は冷たく、細かった。
「……もう、いいんだ。俺はいらないリーダーだったから」
その言葉に、全員の胸が張り裂けそうになる。
「違う! 違うよ、ないちゃん!」
いむは泣きながら頭を振った。
「僕が“リーダーなのに”って何度も言って追い詰めたんだ……ごめん。でもね、本当は、ないちゃんにずっと支えられてたんだ。いなきゃダメなんだよ。僕たちにとっても、リスナーにとっても!」
しょーちゃんも声を張り上げる。
「ないちゃん! お前がおらへんと、俺らは笑えん! ずっと一緒に笑ってたいんや! リーダーとしてじゃなくて、仲間として、家族としてないちゃんとおりたいんや!」
まろは、震える声で必死に叫んだ。
「ないこ……! 俺、ずっと素直になられへんかった! 邪魔やとか、どけとか言って……ほんまはお前が一番大事やったんや! 死ぬとか言うな……俺からお前を奪わんといてくれ!」
あにきは泣きながら肩を抱きしめた。
「ないこ……俺らを置いていくな。通帳なんかより、お前の存在そのものが俺らにとって一番大事やねん。頼むから、もう一度一緒に歩かせてくれ……!」
俺の目から、大粒の涙が零れた。
「……でも、俺……みんなを傷つけてばっかりで……」
りうらはその言葉を遮るように、強く抱きしめた。
「違う! 傷つけてたんじゃない、支えてくれてたんだ! ないくんがいたからりうらたちはここまで来られた! だから……お願いだよ。いなくならないで……!」
5人が泣きながら抱き寄せる中、ないこは堰を切ったように嗚咽した。
ずっと押し殺してきた孤独と痛みを、仲間の腕の中で吐き出すように。
「……みんな……本当に……俺のこと、必要としてくれてるの……?」
いむは涙を拭いながら頷いた。
「当たり前だよ。リーダーだからじゃない。ないちゃんだから、必要なんだよ」
その夜、5人は交代でないこのそばに寄り添った。
机の上にあった遺書は、涙で滲んで読めなくなっていた。
代わりにそこに残ったのは――仲間の声と温もり。
朝日が差し込む頃、ないこは小さく笑った。
久しぶりに見せた、本物の笑顔だった。
「……俺、もう一度……歌いたい。みんなと一緒に 笑」
その言葉に、全員が泣き笑いで頷いた。
「うん。俺/僕たち6人で、また始めよう」
数日後。
いれいすの配信画面に、久しぶりに“6人”が並んだ。
「ただいま!」
「心配かけてごめん!」
「みんなありがとな!」
「また6人で帰ってきたで!」
「これからも、よろしくな!」
そして――。
ないこ「……俺も。戻ってきました。リーダーとしてじゃなく、一人の仲間として。これからも、6人で笑っていきたいです 」
コメント欄は涙と歓声で溢れた。
「おかえり!」
「6人そろってよかった!」
「ずっと待ってたよ!」
画面の中の6人は、涙をこらえながらも笑顔だった。
――壊れかけた日常は、仲間の声によって、再び動き出した。
これから先も6人で。
笑い合いながら。
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