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「清香ちゃんのご主人、よくお宅に遊びに来ている若い女の子と、腕を組んでホテルに入っていくのを見たんだけど、気を付けたほうがいいわよ」
近所の世話焼きおばさんが、道端で話しかけてきた。
旦那が、若い女とホテルに入っていったですって!!
「はははは、勘違いだと思いますけど、ちなみに何処のホテルですか」
清香は顔をひきつらせながら、情報を求める。
「駅の裏手にあるダイヤモンドってブティックホテルよ」
言い方変えても、ラブホテルでしょ。
「ははははは、最近はブティックホテルで、会議とか打ち合わせとかするんですよ。女同士で食事会とか」
「そうね。多分、そうだと思うわ」
旦那の浮気を教えた相手は顔面蒼白で、世話焼きおばさんも、これ以上、何も言えなくなる。
浮気と聞いて、さっそく、駅の裏手にあるホテルを張り込むことにする。
「やだー、お義兄さんたら、部屋に着くまでダメだったら」
「美香が可愛すぎて、ボクチン待てない。ん~」
まるでバカップルのような2人が、清香の旦那の光一と、妹の美香。
「そんな嘘でしょ。うちの旦那が、美香とだなんて」
美香が……妹が裏切るなんて!?
光一が浮気をしてるなんて。
待って、どうすればいい?私はどうしたいんだろう。
出来れば、光一を取り戻したい。
でも、一度離れた心が戻らないことも分かっている。
2人を信じて一度も疑ったことさえない。だけど、これからは何一つ信じられない。
その日を境に、部屋という部屋全てに、隠しカメラや盗聴器をしかけて、夫の行動を全て把握出来るようにした。
でも、2人とも私の大好きな人たちだし、一度の過ち┅┅には見えなかった。
でも、反省して別れてくれたら、全てを水に流して、光一とやり直すのよ。
美香と別れる気がないなら、2人とも覚悟しなさい。
「ふふふふふふ」
今の清香を見たら、周りは、頭がおかしくなってしまったのではないかと思うかもしれない。
◇◆◇
家でWebデザイナーの仕事をしている光一は、好きな時間に起きて寝て、気が向いた時に仕事をしていると清香は思っている。
けれど才能はあるのか、収入は普通のサラリーマンと変わらない。
清香が考えた作戦は、自分が変わること。
まずは、お互いにずっと家にいるので、清香もお洒落をしなくなっている。
ついついジャージーや楽なワンピースで、買い物に行ってしまう。
まずは昔着ていた、旦那にも可愛いと褒められたツーピースを着てみる、着てみる、着て┅┅。
ウエストが閉まらないよ~。
「ちょっと、そこまで言ってくるね」
清香は財布を持って、玄関に向かう。
ガチャ
清香が開けてもいないのに、扉が開く。
「あれ、お姉ちゃん、出かけるの?」
「今、鍵開けなかった?」
妹の美香に合鍵など渡していない。
いくら妹でも、家の合鍵を渡すことなんてしない。
しかも相手は、夫と浮気をしている。
「ああ、お義兄さんが、鍵がないと不便だろうって、作ってくれたんだよ」
不倫相手に堂々と合鍵を渡したですって?
出かける前に頭に血が上り、暴言を吐いてしまいそうなのを必死でこらえる。
全ては証拠を掴み、自分に有利にことを運ぶためだ。
浮気相手を残して家を空けるのは、物凄く嫌だけれど、今こそ証拠を撮るチャンス。
「行くべきか、行かざるべきか」
「何言ってるの?年取ってボケたんじゃないの?」
これはいつも美香が人に向かって言う軽口だと思っていたけれど、今は悪意からだと分かる。
浮気女を残していくのは心配だけど、仕方がない。
「服を買いに行ってくるから、留守をよろしく」
「服を買いに行くの?はあ、お姉ちゃんにとってお義兄さんて、お給料を運んでくる財布代わりなんだろうね」
「ははは、その通りね。でも、夫婦ってそんなもんよ」
美香の嫌味にも動じないフリをする。
家を出て、駅前の手頃な店に入り、マネキンが着ている無難な服を店員に頼んで出してもらう。
洋服を持って、フィッティングルームに入り、数着の服を壁にかける。
「ん?」
足からはいたスカートが、足を入れた瞬間からキツそうな予感。
「全然ダメ。ぷはー」
息を止めて、お腹を引っ込めても腰がキツすぎて、服が入らない。
以前は9号の服がピッタリだったのに、まさか号数が上がってしまったの?
(ぎゃああああ)
フィッティングルームで叫びたいのを必死で我慢する。
「上の、11号を見せてもらえますか?」
「かしこまりました。念の為、13号もお持ち致しますね」
頼んでないわよ。と思いつつ、店員の持ってきた11号と13号を受け取り、フィッティングルームで着替える。
「もう少しなのに」
11号のウエストがしまらない。
清香は嫌そうな目で、13号の服を見て手に取る。
「入った。でも13号だなんて」
服のデザインによって、サイズが違うって言うし、これは、たまたま13号だっただけかもしれない。
服をカウンターに持っていく。
「上下セットで、15980円になります」
今までは自分のサイズを9号だと信じて疑わなかったのに。
これも全て、浮気したあいつらのせいよ。
復讐の炎がさらに大きくなった。
「服だけじゃダメ。メイクも料理もして、旦那の気持ちを取り戻す努力をしてみよう」
文化センターに入っているメイク教室の体験入学をして帰宅した。
清香は、元々整った顔をしているが、今はアゴに肉がついている。
かなり濃い目のメイクだけど、毛穴は消えたし、目も大きく見える。
◇◆◇
マンションの5階の角部屋が、光一と清香の暮らす部屋だ。
ふくよかな手が、鍵を開けて部屋に入ると、光一と美香が隣り合わせでソファに座り、抱き合って唇を重ねようとしている。
ドサリ
清香は買い物をしてきた袋を足元に落としてしまった。
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#復讐