テラーノベル
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扉の先には、ボロボロに崩れた大広間。
中央には、まるで誰かが待っていたかのように──古い三脚とビデオカメラが置いてあった。
そして、その傍に立っていた“白いセーラー服の少女”。
ミナミは、涙がこぼれそうな顔で言った。
「……やっぱり、君なんだね」
少女は小さく笑い、無言で“カメラをセットして”と手招きした。
ハルカがそっとカメラを三脚に乗せ、録画ボタンを押す。
──レンズの前に立った少女は、まるで生きているかのように語り始めた。
「……見てくれてありがとう」
「私の夢は、“ホラーでもいいから、人の心に残る映像を作ること”だったの」
「でも途中で、終わっちゃったから……残っちゃったの」
「あなたたちのおかげで、今日、やっと“最後のカット”が撮れました」
そして少女は、ゆっくりとお辞儀をした。
「これで、“夢は叶った”よ」
カメラが自動的にストップし、少女は光の粒となって消えていった。
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