テラーノベル
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牙央
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放課後
結の家
制服のままだらだらとベッドに寝転がりながら映画を見ている
「んね、ポップコーン取ってぇ〜」
「ん」
隣にいる幼馴染
結は私の腕にぴったりくっついたまま口を開ける
私は慣れた手つきでポップコーンを放り込んだ
「あーん」
「はいはい」
もう昔からこんな感じだ
手を繋ぐのも普通
寒い日は腕を組まれるし眠いと言って肩に寄りかかってくる
気づけば膝の上に座ってることもある
でも全部“幼馴染だから”だと思ってた
実際紗奈は昔から甘えん坊だったし
「ねぇ、次ホラー見よ」
「やだよ、絶対叫ぶじゃん」
「叫ばないし」
「この前めちゃくちゃ叫んでた」
「あれは不意打ち」
「ホラー映画は不意打ちなものでしょ」
くすくす笑う
その時、ぐいと腕を引かれた
「うわっ!?」
気づけば私はベッドに倒されていて紗奈が覆いかぶさるみたいな体勢になっていた
「急にどうしたの!?」
「……」
「ゆ、結?」
さっきまで笑ってたのに急に静かだ。
映画の音だけが部屋に流れる
やけに近い
近すぎる
吐息が触れそうで変に緊張する
「ねぇ」
「……なに?」
結の前髪が頬にかかる
じっと見つめられる
逃げ場がない
「こんなに近くてもまだ友だちのままでいるつもり?」
「……え?」
頭が止まった
だって、意味が分からない
いや、分かりたくないというか
「手、繋いで」
結が私の指を絡める
「抱きついても嫌がらないで」
ぎゅと身体を寄せられる
「膝にも座らせてくれる」
「そ、それは幼馴染だから……」
「じゃあ」
紗奈が少しだけ寂しそうに笑った
「キスしても、“幼馴染だから”で済ませるの?」
「っ……!?」
一気に顔が熱くなる
心臓がうるさい
紗奈はそんな私を見て困ったように目を細めた
「ねえ、気づいてよ」
小さな声
「ずっと好きだったの、私だけ?」
「私だけずっと片思いしてるの?」
その瞬間
今までの全部が頭の中で繋がった
やたら近い距離も
毎日のスキンシップも
他の子と話してると機嫌悪くなるのも
全部
全部“友達”じゃなかったんだ
「……っ」
何か言わなきゃいけないのにうまく声が出ない
すると結がふっと目を伏せた
「……困らせたなら、ごめん」
離れようとした結腕を、反射的に掴む
「……え?」
「い、行かないでっ!」
自分でも驚くくらい必死な声だった
紗奈の目が大きくなる
「分かってなかっただけで……その……」
喉が詰まる
でも…離したくなかった
「結が他の子に同じことしてたら嫌だし……」
「……うん」
「ずっと一緒にいるの当たり前だと思ってた………///」
顔が熱い
恥ずかしくて死にそうだ
それでも私は結の手を握り返した
「だから…///その……///たぶん私も……///」
最後まで言えなかった
でも結は嬉しそうに笑って
「“たぶん”でもいい」
そう言って額をこつんと合わせる
「これからちゃんと分からせてくから」
「っ……」
また顔が熱くなる
映画の内容なんて、もう全然頭に入ってこなかった
次の話…………35♡