テラーノベル
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「アンタっ、邦晴に内緒で亜優を連れて帰るって、何を考えてんの?」
「弁護士がどうとか、いきなり頭のおかしくなったような女に、子どもは任せられん」
ギャーッと泣き始めて私にしがみつく亜優を、伸びてくる手から守りながら
「いきなりじゃない理由があるから、邦晴さんにちゃんと聞いてください。弁護士さんから連絡が入っているはずやから」
と汗だくの攻防を繰り広げる。
母も
「帰ってくださいっ」
と、懇願しているカオスな状態のところに、近くの交番のお巡りさんが来た。
「勝手に家に入ったらあきませんよ」
亜優は初めて見る、実物のお巡りさんの登場に泣き止み……鼻水を舐めた。
慌ててティッシュで、亜優の鼻と涙を拭いている私に
「通報したのはアンタかっ?」
とまた大声で言われるけど……
「違いますよ。よそからの通報でした。さあ、出てください」
お巡りさんが答えている。
「身内の揉め事に警察はいらんっ」
「それでも、ここの家の人の許可なく入ったらあきません」
「孫を助けに来ただけや。亜優っ、じいちゃんとパパのとこに帰ろ、なっ?」
「イヤァ……ァ……ぁああぁ……ぁ…」
また泣き始めた亜優も、抱っこしている私も汗だくで、部屋の隅に行く。
「帰ってくださいっ。最初から母があんなに帰ってって言ってたのに…」
「亜優を渡したらええやろ。亜優を連れ帰るために来たんやっ」
「もうね、これは不法侵入の現行犯逮捕になりますよ?侵入だけなら、注意で終われたのに、連れ去りなんて犯罪行為が目的の侵入は逮捕です。ちょっと応援呼びますわ」
ちょっとした揉め事だと思って来たお巡りさん一人では、対応できない事態になってしまった。
何やら連絡を取り始めたお巡りさんを心配そうに母が眺めているのを見て、本当に申し訳ないと思う。
コメント
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親も親なら子も子だ。