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〜 俊介 side
陸郎「 なぁ 、俊 。 」
そう兄が俺に話かけてくる 。
きっと “ 喜久雄 ” の事だろう 。
陸郎「 喜久雄の事 、どう思っとる ? 」
『 どう思っとるも何も 、別に嫌ってはないで 。』
陸郎「 嘘やな 。兄ちゃんには分かんで ! 」
『 … ホンマかぁ ? 怪しいわ ー 笑 』
陸郎「 兄ちゃんの目は誤魔化されへんで ? 」
陸郎「 … 俊 。」
『 なんよ 。』
陸郎「 俺が喜久雄に取られる思っとー ? 」『 … っ 、思っとらん 。 』
陸郎「 アハハ ッ 笑 ホンマ ツンデレ やのぉ 。」
「 … いつでもおいでぇな 。」
陸郎「 俺はちゃぁ 〜 んと 、俊の兄ちゃんやで 。」
『 … ッッ 兄ちゃ ッ 』
陸郎「 泣いてええよ 、今日はもう稽古ないやろ 。」
「 まだ可愛ええ15歳の子供なんやから 、泣きたくなる事だってあるやんなぁ ? 」
泣き疲れた俺は 、兄ちゃんに身を預けたまま朝まで眠ってしまっていたらしい 。
陸郎「 んぁ 、おはよ ー さん 。」
『 兄ちゃん 、ずっとこの体制やったんやろ ? しんどく無かった ? 』
陸郎「 あ ー 、多少身体は痛いけど 、まぁ大丈夫やで ! 」
『 大丈夫あらへんやん ! 今日の稽古は休みぃよ 、 』
陸郎「 休まへんよ 、俺は 。」
「 休んだら父さんにぶん殴られるやろ ? 」
『 ッ 、そやけど … 』
陸郎「 せやから休みたく無いねん 。身勝手ですまんなぁ 、俊 。」
兄ちゃんの口癖は「 ごめん 」だった 。何をするにも 、ごめん ごめん ごめん ばっか言っていた 。
陸郎「 しかも 後ちょっとで 俺の幕があがんねんで ? 俊 楽しみにしとってな ! 」
『 … おん 、楽しみにしとるよ 』
嗚呼 、そうやってまた上手く言いくるめられる 。
今日も 貴方と稽古する 。そしてまた 、美しく 、何一つ欠の無いその姿に見惚れる 。それは喜久雄も一緒なのだろう 。キラキラとまるで想い人を見るかの様な瞳で兄を見つめていた 。
『 喜久 、あの人は俺のやで 。』
喜久雄「 … 分かっとるよ 。」
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