「ごめん……俺、アイツの言う通り余裕なくて……美桜は俺のだって、すぐに美桜を抱きたくて、無理させちゃったな」
私を抱きしめながら背中をさすり呼吸を整える手助けをしてくれる。
「……私も、私も早く隆ちゃんに抱かれたかったから、猛獣みたいな隆ちゃんも大好きだよ」
艶やめいているが、穏やかな空気。引かれ合うように、いや、惹かれ合うようにの方が合っているのか、もう一度唇をゆっくりとお互いを味わうようにしっとりと、熱い吐息を混ぜ合わせながら重ね合う。
唇がゆっくりと名残惜しげに離れ、二人の熱い視線が絡み合う。一瞬にして激しく燃ゆるような空気に変わり乱雑に、履いていたパンプスを脱ぎ捨てる。もちろん彼も革靴を脱ぎ捨てた。腕を引かれ向かう先は寝室かと思いきやその手前の洗面所に連れて行かれる。
「りゅ、隆ちゃん? んんっ……」
また彼の唇が戻ってきた。唇を押し当てられながらも口の中を翻弄される。半分脱げかけていたブラウスやブラジャーは最も容易く脱がされスカートもストンと地に落ちた。キスは絶えず、既に濡れて湿っているパンツを右足、左足と抜かれていく。
全てを取り去り肌を隠すものは一つもなく露わになってしまった。
はぁぁ、と深く長い溜息を漏らし隆ちゃんは私を抱き寄せる。
「あんなに美桜に近づいて、少しでも他の男の匂いがするのが嫌なんだ。俺の匂いだけでいっぱいになって」
(あ、それでシャワーなのか。やばいぃ、萌えるぅ、なにそれぇぇ)
隆ちゃんが可愛すぎて、可愛すぎてぎゅぅぅっと抱きしめた。
その時お腹の下の方に当たる硬い異物に気がついた。物凄い勢いでスーツを膨らませている彼の物に。
無造作にスーツを脱ぎ捨て素肌を曝け出した隆ちゃんは反り立つソレを隠す素振りもなく私の肩を抱き寄せ浴室に入る。漫画ではよく服を着たままシャワーを浴びてるシーンがあるけど、実際にやったら脱ぐのも大変だし、片付けるのも大変だよなぁと思っていたからやっぱりリアルは服は脱ぐよな! と今、実感している。
シャワーの水を出し、段々と温まるお湯。お湯になるまでの数秒間、少したりとも離れずピッタリと寄り添って互いの心音の速さを感じ取っていた。
二人にお湯がかかる位置にシャワーを固定する。徐に頭からシャワーを浴びながら抱き寄せられキスをした。口の隙間からお湯が流れ入ってくる時もある。けれどそんなのは御構い無しに唾液とお湯が混じり合い身体の中に流れ込むものもあれば、口の横から流れ出てしまうものも。息をするのも難しく、もう苦しくなって唇を離した時にはお互いハァハァとキスをしただけなのに息が上がっていた。
「俺が洗ってあげるから座って」
風呂用椅子に座るよう促されされるがままに椅子に座る。シャンプーをたっぷり手のひらで泡立ててから頭皮を優しく指の腹で洗ってくれる。人に髪の毛を洗ってもらうなんて美容室でしかないので新鮮で、そして凄く気持ちがいい。エッチで官能的な雰囲気だったのがなんだかとても穏やかな空気に変わりつつあった。
「私も隆ちゃんの髪の毛洗ってあげるね」
そう言っても「大丈夫だよ」と言う隆ちゃんを半ば半分強引に椅子に座らせ手のひらにシャンプーを泡立て、彼の柔らかい髪の毛にしっかりと揉み込みながらも頭皮を優しく洗った。何だか少し自分がお母さんにでもなった気分だ。
「人に洗ってもらうってなんか凄い気持ちいいよな」
ヘラッと嬉しそうに笑う彼の笑顔を見て胸がズキュンと矢で打たれた痛みが走った。
「じゃあ俺が美桜の身体を洗う番な。でももうそろそろ限界だからちょっと急ぐよ」
「ふぇ!? あっ、ちょっと……」
たっぷりのボディーソープを身体に塗られ隈なく身体を触られる。別に卑猥な触り方ではない。むしろお父さんが子供の体を洗うような手早さで私の身体の隅々までを無言で洗う。それなのにちょっと胸の先端に指が当たったくらいで私の身体はビクンと恥ずかしいくらいに反応してしまっていた。
全てを綺麗に流し終え、全身の水分をバスタオルで拭きとるとそのままバスタオルを片手にヒョイっとお姫様抱っこされ寝室まで最も簡単に運ばれてしまった。
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