テラーノベル
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いつも通りに過ごしていた、ある日の夜。
ttは話してくれた
「俺さ…、実は高校行ってたんよ」
「え……?」
「でも、途中でやめた。理由は、…まぁ色々」
そう言って星空が輝く夜空を見上げたttの目に
うっすらと涙が浮かんでいるように見えた
「…夢とかさ、もう…持たん方が楽やって、
思ってたけど」
「でも…?」
「svとおると、なんか…、もう1回信じてみたくなるんや」
ttは震えた声で続きを話し始めてくれた
きっと、君にとって辛いことだったはずなのに。
「……夢を?」
「いや、…”人”を」
何かをを掴まれたようだった。
少し苦しくて、でも、嬉しかった
そんなこと言われたの初めてだった。
……俺は、
この世界で、誰かを”変える”ことができる
存在だったのかもしれない
「いや…そんな簡単じゃないな。 」
やけに月が綺麗だった
いつもより静かな夜。
星の輝きも
波の音も
そして風も
不自然なくらいに優しく感じた
まるで、今から俺たちがすることに
何も言わずに頷いてくれているみたいに。
「なぁ、sv」
そんな海を見つめたまま、ttが言った
「俺、もう疲れたんや」
俺も、「うん」とだけ返事をした
声なんか疾うの昔に枯れていた。
今更何も話すことなんてない
何をしても、やっぱり傷は塞がらなかった
希望は芽吹かなかった
誰も迎えに来てくれなかった
結局、俺らはあの夜から何も変わってない。
変わっていなかった。
「もし、生まれ変われるのなら、
次は…普通の家のガキとして、ちゃんと生きたいね…笑」
「…sv、」
「……ん?」
「俺、ほんまにsvと会えてよかったわ。
…本当に」
「俺も。」
涙も、涙すらも出なかった
涙が出る程の心さえもう、
残ってなかったのかもしれない
今日まで何回繋いだだろう。
あたたかかった、優しかったttの手、
俺たちは手を繋いだ
ぎゅっと強く。
そして、
なにも言わずに1歩ずつ海に向かって足を進めた
冷たかった、
でもそれが、どこか懐かしかった。
お願い、
俺たちの過去も
名前も
痛みも
存在も
全部この海が流してくれるのなら___
それでいいって思った。
深く、深く、息ができないほどに沈んでいく
小さな泡と大きな泡たち が上へと登っていく
静かに、優しい波に溺れていった
これで何もかも、なくなった
きっとそうだった、…はず
、
、
𓈒𓏸︎︎︎︎
𓈒 𓂂𓏸
息が苦しい。
喉の底から押し上げてくる塩水
咳き込んで、何度も咳き込んで
やっと、呼吸がもどった
目の前には、波が打ち寄せてくる広い砂浜
少し寒い夜風が俺の体を撫でる
生きていた。
「………っ」
力を振り絞って辺りを見渡す
この砂浜には、
ttがどこにも居なかった
どこを探しても、
震える声で名前を呼んでも、
返事はなかった
そこには、
“俺だけが生きてしまった”という事実だけが
この世界に打ち上げられている
「…な、んで……,なんでだよ 、 」
心臓をえぐられる程に苦しくて、
声にならない声が、1人残されたこの砂浜に
消えていった
✩.*
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やばいえぐい