「忍、ごめん」
焼きそばパンを渡すと彼はやっと目を合わせてくれた
「いいよ別に」
そう言いながら焼きそばパンの封を開ける
彼は焼きそばパンが好きなのだ
「さっき二階堂君に会ってさ」
「柊に?」
封を開け食べようとした手がピタリと止まった
眉間に皺が寄っている
「何もされて無いか?」
「されてないよ」
父親か
そんなツッコミができるような雰囲気ではない
した所でまた機嫌が悪くなるのがオチだろう
「アイツは女好きだから」
「だろうね」
「良い奴ではあるんだけどさ」
「で、柊なんか言ってた?」
「サッカー部の顧問変わるってさ」
サッカー部の顧問は私達の担任でもあるおじいちゃん先生だった
ただいるだけでほとんどコーチに任せ切りらしい
「あー…退職するんだっけ」
「そうそう」
体力に限界の来た先生はもうすぐ退職することとなった
可愛らしい先生で皆から愛されていたのでちょっと寂しい
「次こそ決勝行けるといいね」
「ああ」
「その時は応援行くからね」
「待ってる」
ふんわりと柔らかく笑った彼
これはモテるな
我ながらかっこいい幼馴染を持ったと思う
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