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コメント
3件
わああああ マシュー積極的!そんなマシューもいい! 細かく書かれてたから、心臓バックバクですよ、もう!
純愛書こうとおもったのにヤンデレみたいになってしまった…
参加型企画
〜第3話〜
注意
・固定夢主あり
・キャラや口調が解釈不一あります
・基本的に夢小説なので気をつけていますが、キャラ崩壊があるかもしれません
・この小説に出てくる国や地名、団体名は実際に存在するものとは一切関係ありません
【ファルマリアの黙考】
一目散に中央のテーブルへと向かったクララは、美味しそうな料理を前にうっとりとしている。
皿とフォークをとり、ワインを手に取ろうとした時、奇しくも同じワインを取ろうとしていた男性に指先が触れる。
『あっ、ごめんなさいっ…』
男性はあわてて謝る。
その男性は金髪でメガネをかけ、クララと同じようにシロクマのぬいぐるみを抱いている。
『…そのぬいぐるみ可愛いのだっ!』
『……え?』
『ああ、くま五郎さんのことか、くま五郎さんはね、人形じゃないんだよ』
人形だと思っていたシロクマが手を振る。
『わっ!すごい!!』
『オレ、ニンギョウジャナイ。』
カタコトだが、しっかりと言葉を喋る。
『ふふ、間違えちゃっただけだよ。』
『僕はカナダ、実名はマシューって言うんだ。こっちはクマ三郎さん、』
『君のお名前は?』
『我はファルマリア共和国!実名はアルマリノ・クララなのだ!』
『うん、いい名前だね。』
『まぁな!』
『それで、マシュー君はどこに住んでるんだ?』
『僕は2階の203号室だよ。その隣は僕の兄弟が住んでるんだ。』
『そうなのか!』
『我は202号室なのだ!お隣さんだなっ!』
『そうなんだねっ嬉しいな〜』
マシューはへらっと笑いクララの手を取る。
『あっ…』
淡いが、しっかりとしたマシューの体温がクララの手に伝わった。
今まで聞いたこともないような心臓の音がクララの耳に響く。
『僕ね、影が薄いから気づいて貰えないことが多いんだ』
『でもね、君は違う。』
『……ねぇ、アルマリノちゃんと僕ってとっても仲良しになれると思わない?』
クララの手をにぎったまま、マシューが微笑む。
クララの心臓がドキリと大きく跳ねた。
その瞬間クララの頭の中に浮かんだのは「恋」という単語だった。
『な、仲良しになれる…』
マシューが言った言葉を複唱した。
頭の中で何度もグルグルと今の気持ちを理解しようとした。
だが、マシューはそれをYESという返事だと解釈したようで、
『だよね!じゃあさ、これからお隣同士、もっとお互いのこと知ろうよ。』
『アルマリノちゃんの事も知りたいし、アルマリノちゃんに僕の事も知ってもらいたいな。』
『アルマリノちゃんじゃなくてルマでいい…』
完全に調子を狂わされたクララは伏せ目で答えた。
『わかったよ、ルマ。』
マシューはさらにクララに追い打ちをかけるように満面の笑みで微笑んだ。
【マシューの黙考】
彼女に一目惚れだった。
明るい兄弟とずっと一緒に居るのは疲れてしまうから、自分の居場所を作るためにワインを取りに行った。
琥珀色がシャンデリアに照らされ、さらに輝く。
残念なことにワインの置いてあるところは混んでいて、手が届きそうにない。
『あの、すみません、ワインをとってもらえますか?』
人々はマシューに気づかないまま、楽しそうに話を続けている。
この時、僕の兄弟のアルフレッドならすぐにでもワインをとることが出来るだろうに、と考え、なんだか悲しくなった。
やっとの想いでワインまでたどり着き、手を伸ばした。
そこで彼女の手と僕の手が触れた。
僕はあわててあやまる。
どうせ気づいて貰えないが、人としてだ。
『あっ、ごめんなさい…』
彼女はこちらを凝視し、
『そのぬいぐるみ可愛いのだっ!』
と言った。
拍子抜けをした。
この世界に僕を認知できる人は、フランシスさんとたまにアルフレッド、クマ二郎さん、そしてアーサーさんだけだと思っていた。
身内だけが僕の事が見える、ましてや身内でも見えないやつもいる。
僕はその瞬間、彼女に興味が湧いた。
僕の事を認知できる、数少ない人物。
小さくて幼くてどこか妖美な彼女に多分僕は一目惚れした。
僕は人から彼女が見えないように、人混みがある方を背にして彼女と向き合った。
幸い、彼女はクマ権三郎さんに興味がある。
共通の話題で盛り上がるチャンスでもあった。
『僕はカナダ、実名はマシューって言うんだ。こっちはクマ三郎さん、』
当たり障りのない普通の会話。
いきなり「好きです」なんて言ったらきっと困惑されてしまう。
少しずつ距離を縮める。
フランシスさんに教えてもらった女の子の接し方が今なら役に立つかもしれない。
僕には女の子とお話することは無縁だと思っていたけど、今は違う。
彼女がいる。
名前はアルマリノ・クララと言うそうだ。
その性格とは対照的にお淑やかさを感じさせる名前で、そのアンバランス具合が僕の心を支配していく。
そして僕は日々不運なせいか、得を生かせる場面が無かったのかどうかはわからないが、彼女と隣の部屋だそうだ。
これほど神様に感謝した時はない。
いつもは不運体質を神様に嘆くだけだったが、たまには教会にお祈りでもしてみようかと思えた。
でも、僕は視界の端っこにアルフレッドが歩いてくるのが見えた。
僕とアルフレッドは一応兄弟だ。
まだ決まった訳じゃないけど、アルマリノちゃんに手を出されでもしたら困る。
ましてやアルフレッドとアルマリノちゃんが付き合うなんて。
考えただけでも僕の中の暗い何かがとぐろをまいた。
僕はアルマリノちゃんを取られまいと彼女の手を握る。
女の子らしい細い指で柔らかい。
アルマリノちゃんは少し意表をつかれたような顔をした。
このような経験はないのだろうか。
ならば好都合だ。
アルフレッドが来る前にこちらに引きずり込むだけ。
『僕ね、影が薄いから気づいて貰えないことが多いんだ』
『でもね、君は違う。』
アルマリノちゃんの目が一瞬見開いた。
『……ねぇ、アルマリノちゃんと僕ってとっても仲良しになれると思わない?』
ほら、これでもう君は僕のことしか考えられなくなったでしょう。
傍から見たら、「なんて必死なんだ」と笑われるかもしれない。
でも、それでも良い。
アルマリノちゃんは言った。
『仲良しになれる』って。
それってつまり、アルマリノちゃんは僕のことを意識してるってこと?
好きな人と同じ気持ちってこんなにも嬉しいものなのか。と思った。
アルマリノちゃんは多分気づいていないけど、顔が真っ赤なの、僕には見えてるよ。
『だよね!じゃあさ、これからお隣同士、もっとお互いのこと知っていこうよ。』
半ば強引にアルマリノちゃんに意見を求めた。
『アルマリノちゃんの事も知りたいし、アルマリノちゃんに僕の事も知ってもらいたいな。』
これは僕の心からの本音。
そして、アルマリノちゃんが呟いた。
『アルマリノちゃんじゃなくて、ルマでいい。』
ルマ。なんて素敵な響きなんだろ。
ねぇ、ルマ。君には僕はどうやって写ってる?
この感情は知られてはいけない。
まだ心の奥に閉まっておく。
全てはタイミングだから。
この歓迎会が終わったらすぐにでもこの気持ちを伝えたいけど、まだ我慢。
きっと君を怖がらせちゃう。
でも、まだ時間はいくらでもある。
なんてたって、僕らはお隣同士なんだから。
そう考えただけでも口元がにやけてしまう。
【ファルマリアの黙考】
気持ちの収集がつかないままマシューについて行ってしまった。
マシューに、 『バルコニーへ行こう。』と誘われ、あ れよあれよとついて行ってしまった。
でも悪くないと思っている。
『ふぅ…風が気持ちいいね。』
『そうだな!、』
焦った気持ちを隠すように、取ってつけたような元気を言葉にのせる。
『ホールの中も随分涼しいけど、外の空気はまた別なんだぞ!』
『ふふっ、そうだね』
ワインのせいもあるだろうが、マシューに感情を掻き乱されたせいで身体が火照ってきた。
『…そういえば、マシュー君は趣味とかあるのか?』
火照りを紛らわすように話題を振る。
『趣味か〜…うーん…』
『キャンプとか料理とか…アウトドアも好きだよ』
『楽しそうなのだ!』
『うん楽しいよ、綺麗な自然を見ると心が癒されるよね〜』
『ルマは趣味とかあるの?』
『もちろんなのだ!』
『我は裁縫が趣味なのだ!』
『へーっ凄い!』
『このぬいぐるみだって手作りなのだ!』
『器用なんだね〜』
マシューはぬいぐるみをまじまじと見つめる。
『この後さっ、』
『今日はお集まりいただき、ありがとうございます。』
マシューが何かをいいかけた時、マイクを持ったオーナーの声にさえぎられた。
『この歓迎会は新入居者さんのための歓迎会です。交流を深めたり、ダンスもありますので、ぜひ参加していってくださいね。』
ダンスという言葉にフロアがわく。
『ダンスっ!!楽しそうなのだ!』
『ダンス好きなの?』
『うん!好きなのだ!』
告白みたいになってしまったな、と言った後に気づき、少し口をつぐんだ。
『じゃあさ、一緒に踊らない?』
『えっ…?』
「一緒に踊る」ということはもちろんエスコートされるわけだから手が触れる。
それだけじゃない。顔も、上半身も、全てが至近距離なのだ。
でも、マシューと一緒に踊りたい。
多分恋をしておかしくなってしまっている。
興味のない男なら適当に断って踊るけど、マシューにはそれができない。
マシューの至近距離の顔を想像してまた暑くなった。
『どうかな…嫌…?』
『いやいやいや!、そんなことないんだぞ!』
焦って早口になる。
鼓動も、言葉も、血液も、全てが早くなる。
【マシューの黙考】
バルコニーにルマを連れて行ってたわいのない会話をする。
ワインか僕の影響かどうかわからないけど、ルマの顔が赤いからだ。
勝手に、後者だったらいいな。なんて思いながら会話をつづける。
少しして、ルマが趣味の話をした。
ルマは裁縫が好きなんだそう。大事そうに抱えているぬいぐるみはお手製のもの。
本当によくできている。おもちゃ屋さんにあってもおかしくないレベルだ。
ルマともっと話がしたいと思い、こっそり歓迎会を抜け出して夜の大通りに誘おうと思った。
『この後さっ、』
『今日はお集まりいただきありがとうございます。』
タイミング悪く、オーナーのアナウンスが入った。
『この歓迎会は新入居者さんのための歓迎会です。交流を深めたり、ダンスもありますので、ぜひ参加していってくださいね。』
ダンス、そうだ忘れていた。
オーナーはよく歓迎会やパーティーなどをひらく、そして必ずダンスを踊る時間もセットだ。
今日の僕は豪運でルマがダンスに食いついた。
ルマはダンスが好きらしい。
聞いてみると、
『うん、好きなのだ!』と言われた。
告白みたいだな、と思って少しだらしない顔になる。
『じゃあさ、一緒に踊らない?』
僕も小さい頃にアーサーさんに教育として教えられたから、そこそこ踊れる。
ここでぐっと距離を縮めれば、もっと仲良くなれる気がした。
ルマはまた赤くなった。
照れてる、僕のことを意識していると考えるとニヤけがとまらない。
どうせならルマの口からYESを聞きたい。
だから僕は断れないようにわざとしおらしくした。
『どうかな…嫌…?』
『いやいやいや!、そんなことないんだぞ!』
これはYESということだろうか。
やはり積極的になってみるものだ。
僕は、これからのダンスパーティーの時間が待ち遠しくなり、再びルマの手を取った。
〜第3話fin〜
今回はマシューとルマちゃん回でした!
積極的なマシューがいいなとおもって…
それと、一つ余談なのですが、
【○○の黙考】は○○目線、○○が主役の章みたいなものです!
それでは、ここまでみてくださり、ありがとうございました!