「………」
暴力沙汰を起こした向井は、原因を全く話そうとせず…そのまま、謹慎処分を告げられる…
世間では、今大人気のアイドルが…暴力沙汰を起こして逮捕されたと騒ぎ立て…
一般社会の不適合者だと言うモノも現れた
あの時、撮られていたのか…向井の手首に手錠がかけられる瞬間のムービーがネットに上がり…
事務所は躍起になって、削除した…
しかし、すぐに新しいスレッドが上がり…更に激しく責め始める
イタチごっこは永遠と続き…
コメント欄には、誹謗中傷や…誰かのイタズラの殺害予告まで書いてあった
「………」
それでも向井は沈黙を貫き、何にも反応せずに耐えている…
一方、助け出された渡辺は…心身ともに疲れ切っていて
「おい!翔太!」
事務所に戻ってしばらくすると…
突然、過呼吸になり…
崩れる様に膝をついて、そのまま倒れて意識を失った
「んっ…」
病院のベッドで目覚めると…
岩本、阿部、目黒の3人が渡辺の事を心配そうに見つめていた
「翔太!俺達の事、分かるか?」
「翔太君…大丈夫?もう一週間も眠ってたんだよ…」
「翔太も康二も、一体どうしたんだよ…俺達に分かる様に説明して欲しい…」
3人は、口々に喋り出す
「康二?康二に何かあったのか?」
自分の事で精一杯で…あの時の事は、よく覚えていない…
しかし、あの時あの場所で…向井の声が側で聞こえた様な気がしていた
「あのね、康二は…」
奇しくも渡辺の事を想っている3人の口から、向井の身に起こった事件の事を聞かされる
「!」
それを全て聞き終えた渡辺は、3人に自分の過去も含めた全てをの事を話し…頭を下げて協力を要請した
「そんな…」
優しい阿部は聞かされた辛い事実に、声を詰まらせ…
「だから、触られるの嫌だったんだね…」
目黒は、ずっと疑問に思っていた渡辺の苦手意識に納得がいった
「それで…俺達は何をすれば良い?」
話を冷静に聞いていた岩本は…自分に何か手伝える事ならと、協力する事を快諾してくれた
「康二」
向井の謹慎中の自宅に、目黒が姿を現した
最初、向井は拒んだが…説得して何とか部屋に入れてもらう
「ちょっと、これ見て…」
そう言って、差し出したのは一台のノートパソコン…
その画面には、まだ何も映っておらず…ただ誰も居ない空間がそこにはあった
「?」
しばらくすると、物音がして…阿部と思われる声が聞こえた後、すぐに渡辺の姿が映し出された
すると向井は、目を細めて…愛しむ様に画面を見つめて釘付けになる
しかし、その渡辺の口から語られた内容に…目を見開いて慌て出す
それは、自分の過去に起こった悲劇と…今回の向井逮捕の真相だった
「ちょっ…この配信止めさせて!」
向井が目黒に掴み掛かる
「あのね康二、よく聞いて…。これは、翔太君が言い出した事なんだ…」
目黒の口から付いて出た【翔太君】の言葉に身体が強張る…
「何で?こんなん…しょっぴーが晒し者やん…可哀想や…なぁ!しょっぴー、もう止めて!」
聞こえるはずなど無いのだが…画面を持って中の渡辺に訴えかける
しかし当然その声は渡辺に届かず…
「康二は何も悪くありません。彼は俺をただ守ってくれた…。今も俺を庇う為に、1人で何も言わず苦しんでいます」
渡辺はそう訴えかけ、何度も何度も頭を下げた…
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