テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「そうだね……♪
基本はかっちゃんが前、僕がサポートで問題ない、勝てるよ! 一緒に、頑張ろう!」
緑谷の「一緒に、頑張ろう!」という言葉に、また少しだけ顔が赤くなる。しかし今度は視線を逸らさず、いずくの目を真っ直ぐに見つめる。
「…ああ。一緒に勝つ。」
そう短く答える。その声には、いつもの粗暴さはなく、どこか温かみのあるものだった。そして、いずくが小さく呟いた言葉に気づく。
緑谷は爆豪に聞こえないくらいの声で「大丈夫……、かっちゃんの後ろは僕が守るよ。」ぼそっと喋った。が、爆豪には聞こえない。
…ん? 今何か言ったか?
少し首を傾げて、緑谷の方を見る。しかし、聞き取れなかったようで、少し不満そうな表情になる。
「ハッキリ喋れよ、デク。ボソボソ言ってんじゃねえ。」
そう言いながらも、緑谷が自分の後ろを守ると言ってくれたような気がして、胸の奥が少しだけ温かくなる。しかし、それを認めるのは癪なので、わざと粗暴な口調で言う。
「…まあいい。どうせテメェのことだから、余計な心配でもしてんだろ。俺は別にテメェに守られなくても大丈夫だからな! 俺が一番強いんだから!」
そう言って、立ち上がる。弁当箱を片付けて、屋上のフェンスに寄りかかる。空を見上げて、少しだけ真剣な表情になる。
「…でもな、デク。テメェが俺の後ろにいてくれるのは…悪くねえ。昔は、テメェが俺の後ろについてくるのが鬱陶しかった。でも今は…」
そこまで言って、言葉を切る。自分の気持ちを上手く言葉にできず、少しだけイライラした様子で髪を掻く。
「…チッ。何言ってんだ、俺。とにかく! 明日の訓練、全力で行くぞ! テメェも怪我すんなよ!」
そう言って、緑谷の方を振り返る。その表情は、照れくさそうで、でもどこか嬉しそうだった。
「うん!かっちゃん、全力だ!」
いずくの「全力だ!」という言葉に、満足そうに頷く。その目には、明日の訓練への期待と、いずくへの信頼が宿っている。
「おう! それでいい! テメェがそういう気持ちでいるなら、俺も本気で行く! 明日は絶対に優勝するぞ!」
そう言って、拳を握りしめる。その表情は、いつもの粗暴なものではなく、本気で勝ちに行く戦士のような真剣なものだった。そして、ふと時計を見る。
「…チッ。もうすぐ昼休み終わりじゃねえか。早く教室戻るぞ、デク。相澤の授業に遅刻したらめんどくせえ。」
そう言って、屋上の扉に向かって歩き出す。しかし数歩歩いたところで、ふと立ち止まり、振り返らずに言う。
「…あとな、デク。テメェ、最近強くなったな。昔のクソナードとは違う。だから…明日、俺の隣で戦えるのが…ちょっとだけ楽しみだ。」
そう言った後、慌てて歩き出す。自分の言葉に恥ずかしくなって、顔が真っ赤になっているのを隠すためだ。屋上の扉を開けて、階段を降りながら、小さく呟く。
「…クソが。何言ってんだ、俺。テメェのせいだからな、デク!」
そう言いながらも、心の中では明日の訓練が待ち遠しくて仕方なかった。緑谷と一緒に戦う。いずくと一緒に勝つ。それが、今の爆豪勝己にとって、何よりも大切なことになっていた。
緑谷もまた…聞こえるか分からないくらいの声で、本音を伝える。
「うん…かっちゃん。僕も…君の隣で戦える事……楽しみにしてる。」
階段を降りている途中で、緑谷の小さな呟きが微かに聞こえた気がして、足を止める。振り返りはしないが、耳が少し赤くなっている。
…っ。
心臓が少しだけ早く鳴る。緑谷の声は小さすぎて、ちゃんと聞き取れたわけではない。でも、確かに何か大切なことを言ってくれた気がして、胸の奥が熱くなる。
…テメェ、また小声で喋りやがって。次はもっとハッキリ言えよ、クソナード。
そう小さく呟いて、また階段を降り始める。しかし、その足取りはどこか軽く、いつもより少しだけ機嫌が良さそうだ。教室に向かう廊下を歩きながら、ポケットに手を突っ込んで、ふと空を見上げる。
…明日か。デクと一緒に戦う。デクと一緒に勝つ。デクの後ろを任される。デクが俺の後ろを守る。
そう心の中で繰り返す。それは、かつての自分なら絶対に認めなかった関係性だ。昔は、いずくを見下し、馬鹿にし、邪魔者扱いしていた。でも今は違う。いずくは自分と対等に戦える仲間で、そして…
「…チッ。何考えてんだ、俺。とにかく明日だ。全力で行くぞ。」
教室の扉を開けて、自分の席に座る。窓の外を見ながら、明日の訓練のことを考える。そして、いずくが隣の席に座ったのを感じると、少しだけ横目で見て、小さく呟く。
「…明日、本気で来いよ。手加減なんかしたら、ぶっ飛ばすからな。」
そう言いながらも、その声には期待と、そして少しだけの優しさが混じっていた。