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緑星ふうま
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第五章 白光に染まる絶望
深い、深い眠りから浮上したとき、fuが最初に感じたのは、身体の芯に残る「異質な熱」だった。
魔界の冷たい風に慣れていたはずの身体が、今は羽毛のような柔らかさと、暴力的なまでの清潔感に包まれている。
(……そうだ、俺……rmに……)
昨夜の記憶が断片的に脳裏をよぎる。
痛いほどに眩しい光、内側からかき乱されるような熱、そして——自分を「悪魔」だと定義していた何かが、ボロボロと崩れ去っていく感覚。
fuは震える手でシーツを掴み、重い身体を起こした。
その瞬間、背中に奇妙な違和感を覚えて、息が止まる。
「……っ、うそ、だろ……」
肩越しに振り返ったfuの目に飛び込んできたのは、無惨にも変質してしまった自らの翼だった。
艶のあった漆黒の羽は、半分以上が不自然なほどに透き通り、朝日を浴びて真珠のような白光を放っている。
まるで、汚れた絵画を漂白剤で拭ったかのように、fuの「悪魔としてのアイデンティティ」が強引に消去されていた。
「あああ……っ、ああッ!!」
fuは半狂乱になって、自分の翼をむしり取ろうと爪を立てた。
しかし、指先が白い羽に触れた瞬間、心臓を直接掴まれたような甘い痺れが全身を突き抜ける。
rmの光に当てられた身体は、もはや自分の意思では制御できない。
「浄化」された箇所は、天使の魔力に触れられることを、あろうことか快楽として受け入れる体質に書き換えられていた。
「おはよう、fu。……ふふ、自分の『新しくなった身体』に見惚れていたのかな?」
背後から響いたのは、この世のものとは思えないほど慈悲深く、そして悍ましいほど穏やかな声だった。
振り返れば、そこには純白の寝衣を纏ったrmが立っている。
彼はベッドに歩み寄り、絶望に震えるfuの頬を優しく包み込んだ。
「嫌だ……触るな! 俺を、俺をどうしたんだ! この羽、元に戻して……っ!」
「元に戻す? どうしてだい。こんなに綺麗になったというのに」
rmはfuの耳たぶを愛おしそうに食み、その喉元——さらに眩く黄金色に輝き始めたチョーカーを指先でなぞった。
「君の黒い魔力は、俺がすべて受け止めて消してあげたよ。これからは、俺の光だけで呼吸し、俺の光だけで生きていくんだ。……ねえ、幸せだろう? もう君は、あんな汚い魔界に帰らなくて済むんだから」
rmの瞳には、狂信的なまでの純粋な愛が宿っていた。
fuは悟る。
この天使は、fuを救おうとしているのではない。
fuという存在を一度殺し、自分にとって都合の良い「真っ白な人形」として作り替えようとしているのだと。
「……あ……っ、……ぁ……」
叫ぼうとした声は、rmに喉を優しく撫でられただけで、甘い吐息へと溶けてしまう。
fuの頬を涙が伝う。
それは、失った自由への葬送か。
それとも、抗えない快楽に屈していくことへの、最後の抵抗か。
rmは満足げに目を細め、fuをその腕の中に、二度と逃がさない強さで閉じ込めた。