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海の紅月くらげさん
神社まで着くと、人目を引く浴衣姿の四人組をすぐに見つけた。
「ましろーん! じゅーんじゅーん!」
ただでさえ目立っているというのに、武蔵先輩が大きな声を出しながらこっちに向かって両手を振る。
周囲の視線を痛いほど感じながら、私と潤は武蔵先輩達に合流した。
「ふーん、浴衣は似合うな」
あんず飴の割り箸をくわえた和葉が私をまじまじと見つめ、ぶっきらぼうに言う。
「浴衣はって……」
「なんだよ、いつも可愛いって言ってほしいのかよ」
にやりと意地悪く口角を片方つり上げて、明らかに私の反応を面白がっている。
「ちょっと、いちゃいちゃしないでよ」
こちらに近づいてきた実里くんが不満そうに口を尖らせて私と和葉の間を割って立った。
実里くんも浴衣がよく似合っている。
「ましろせんぱい、俺に見とれちゃった?」
微笑むその姿さえも色っぽくて、とても年下とは思えない。
「せんぱい、今日もすっごく綺麗だよ」
お世辞だってわかっている。けれど、頬の赤みは増していくばかりで、真っすぐに見つめられるとたじたじになってしまう。
「二人っきりでお祭りまわろっか、せーんぱいっ」
「勝手なこと言うな」
狐のお面をしたままの歩くんが実里くんの首根っこを掴み、私から引き離した。
「あー、うるさーい」
「お前なぁ」
実里くんと歩くんが口喧嘩をしている横で潤が手招きをしている。それに吸い寄せられるように足を進めた。
「はい、ましろん」
潤がくれたのは桃色のわたあめだった。
「そこの入り口のとこで売ってたから、どうぞ」
「ありがとう!」
「いっただきまーす!」
潤から貰った私のわたあめを一瞬で三分の二奪っていかれてしまった。
その犯人を涙目になりながらキッと睨みつける。
「何するんですか! 武蔵先輩!!」
「隙だらけなのが悪い!」
実里くんと二歳離れているとは思えない。自由奔放すぎる。
「私のわたあめ……」
すっかりやせ細ってしまったわたあめをしょんぼりしながら食べていると私の頭にぽんっと温かい何かがのった。
「ごめんな。許してやって」
それが歩くんの手だと気づいた時、彼の手は既に私の頭から離れていて斜め前に立っていた。
「う、うん……」
わたあめをとられたくらいでショックを受けている自分が子どもっぽく思えて、頬が熱くなる。お祭りだから少し浮かれすぎていたのかも。
「ましろーん! 歩ー! 先行っちゃうよー!」
「今行く!」
私は歩くんと一緒に潤達が待っているお祭りの中へと駆けていく。