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유리
16
坂田銀にゃん
15
スタートーー!
夜明け前。
星見ヶ丘天文観測所から少し離れた山小屋。
公安の臨時指揮所となったその場所には、コナン、美月、蘭、灰原、阿笠博士、安室透、赤井秀一、風見裕也たちが集まっていた。
外では消防隊が、燃え続ける観測所の消火活動を続けている。
机の上には、耐火ケースから取り出されたDVDと、倉橋俊介の手帳が置かれていた。
「続きを見よう。」
コナンが静かに言った。
博士がDVDプレーヤーの再生ボタンを押す。
⸻
倉橋俊介の記録
画面には、再び倉橋俊介の姿が映る。
その表情は疲れていたが、どこか穏やかだった。
「ここまで映像を見てくれた人へ。」
「ありがとう。」
「君は、きっと私が信じたかった”未来”なんだろう。」
美月は画面を見つめたまま、小さく息をのんだ。
倉橋は続ける。
「私は天文学者だ。」
「星を観測し、その軌道を記録することが仕事だった。」
「星は、決して嘘をつかない。」
「だから私は、人間も真実を見つめ続ければ、必ず正しい道を選べると信じている。」
部屋は静まり返っていた。
⸻
本当に守りたかったもの
倉橋は机の上に一冊のノートを置いた。
「この研究は、本来、災害予測や宇宙観測のために作られたものだ。」
画面には人工衛星の観測図が映る。
「しかし、これを悪用すれば、人の動きや重要施設の位置を不正に把握することもできる。」
安室が腕を組む。
「だから組織は狙ったのか……。」
「私の研究ではなく、その応用技術を。」
赤井も静かにうなずいた。
「技術は使う人次第、ということか。」
⸻
美月への言葉
倉橋はカメラを見つめ、少しだけ微笑んだ。
「この映像を見ている人が、もし写真を愛する人なら──。」
美月は思わず身を乗り出す。
「写真は、一瞬を切り取るものだ。」
「だが、本当に残るのは、その時の気持ちだ。」
「どうか、未来を写し続けてほしい。」
その言葉に、美月の目には涙が浮かぶ。
「私……。」
「ちゃんと届きました。」
蘭はそっと美月の肩に手を置いた。
⸻
コナンへのメッセージ
倉橋は一度、視線を落とした。
そして、画面の向こうにいる誰かを見つめるように言う。
「もし、この映像を見ている中に、真実を追う探偵がいるなら。」
コナンは目を見開く。
「証拠だけでは、人は救えない。」
「その真実を、誰のために使うのか。」
「それを忘れないでほしい。」
コナンは帽子のつばに触れ、小さくうなずいた。
「……ああ。」
⸻
突然の通信
その時だった。
風見の無線機が鳴る。
「風見です!」
『緊急です!』
『観測所北側の林道で、黒いポルシェ356Aを確認!』
部屋の空気が一変する。
安室が立ち上がる。
「ジンか。」
赤井もライフルケースを手に取る。
「まだ終わっていない。」
⸻
林道
夜明け前の山道。
濃い霧が立ち込める。
黒いポルシェ356Aが静かに停車していた。
ジンは車から降り、双眼鏡で山小屋を見つめる。
ウォッカが尋ねる。
「兄貴、本当にやるんですか?」
ジンは冷たく答える。
「証拠は一つ残らず消す。」
「それが組織のやり方だ。」
ベルモットは助手席から夜空を見上げる。
「……まだ引き返せるわよ。」
ジンは振り向かない。
「引き返す道など最初からない。」
その一言に、ベルモットは静かに目を閉じた。
⸻
決意
山小屋。
コナンはDVDを耐火ケースへ戻す。
「これは絶対に守る。」
美月はフィルムカメラを抱きしめる。
「倉橋さんの想いも、一緒に。」
安室が全員を見回す。
「ここから先は危険です。」
「一般人は後方へ。」
すると、美月が一歩前へ出た。
「……いいえ。」
「私も行きます。」
蘭が驚く。
「美月ちゃん!」
「これは私が偶然見つけたものです。」
「最後まで、自分の目で見届けたい。」
コナンは少しだけ笑った。
「そう言うと思った。」
「でも、一つだけ約束して。」
「絶対に無茶はしないこと。」
「うん。」
二人はしっかりとうなずき合った。
⸻
朝日が山の稜線から昇り始める。
その光が、まだ煙を上げる観測所跡地を照らしていた。
一方、林道では黒いポルシェが静かにエンジンをかける。
ジンは帽子を深くかぶり直した。
「決着をつける。」
ポルシェが山道を走り出す。
その先には、真実を守ろうとする者たちが待っている。
そしてコナンたちもまた、山小屋を後にして歩き始める。
二つの道は、やがて一つに交わる。
誰も逃げない。
誰も諦めない。
十五年前から続いた物語は、ついに最後の舞台へと向かっていた。
⸻
――第10章 終――
次回予告
第11章「漆黒の決戦」
山岳道路を舞台に、コナンたちと黒ずくめの組織の最後の戦いが始まる。ジンの執念、赤井の狙撃、安室の追跡、そして蘭の決死の救出劇。美月は最後の一枚の写真を撮るため、自ら危険へ飛び込む――。
コメント
1件
いぬ🐶さん、第10章、読み終わりました……! 倉橋さんの「本当に残るのは、その時の気持ち」という言葉、胸に沁みました。美月ちゃんの涙に、私ももらい泣きしそうでした。コナンくんへのメッセージも、帽子に手を触れる仕草が泣けます。 そしてまさか最後にジンが動き出すとは……!次回が気になりすぎます。続き、楽しみにしていますね🌷