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一週間後、両家の全員が私立病院の応接室に集まっていた。三日前に提出した美咲、武司、麻里の細胞サンプルの鑑定結果を聞くためだった。
ドアが開いて、白髪頭の大柄な男性医師が入って来て、全員を左右に見渡す位置に座った。そして努めて冷静な口調で告げた。
「ご存じでしょうが、子どもは両親から性染色体をひとつずつ受け継ぎます。母親から二つあるX染色体のどちらかを、男女に関わらず受け継ぎます。鑑定の結果、森本美咲さんと森本武司さんのX染色体は一致しました。まあ、産みの母親ですから当然ですが」
医師は麻里とその両親に顔を向け、一瞬躊躇した後、重い口を開いた。
「そして、高階麻里さんのX染色体の片方のDNAは、森本美咲さんのX染色体のDNAとも極めて高い確率で一致しました」
麻里の母が震えながら声を張り上げた。
「そんな馬鹿な? どうしてそんな事が起きるんですか?」
医師は変わらず冷静な口調で答えた。
「娘さんを妊娠なさった時、あなたが提供された卵子は、森本美咲さんの卵子だったのです。従って、森本武司さん、高階麻里さん、あなた方お二人は遺伝子的には……父親違いのきょうだいという事になります」
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