スタンプ

目黒の家に着いた。渡辺は思い出す。

海に入ってしまったこと。

目黒が怒っていること。

車から降りれない。

目黒ー翔太くん、降りて？

渡辺ー帰る。

目黒ー無理に決まってるでしょ？

渡辺ー・・。

目黒ー早く降りて？

渡辺ー怒ってる。

目黒ー当たり前でしょ。

ゆっくり目黒の家に着いた。

コーヒーを用意している。

沈黙が怖い。

渡辺ー帰る。

目黒ーダメって言った。

渡辺ー俺だけが悪いの？

目黒ー俺も悪いけど、海に入ったよね？

渡辺ー・・。

目黒ー最初に勘違いって言ったよね？信じてなかった？

渡辺ー信じてなかった。

目黒ー俺のこと、信じられない？

渡辺ー違う、俺が弱いから。

目黒ー翔太くんは弱くないよ。

渡辺ーん〜ん。

目黒ー俺、浮気なんか絶対しないよ？

渡辺ーあんな写真撮られて、いきなり見せられた俺の気持ちは？

目黒ー専務が見せたんだね？

渡辺ー・・。

目黒ーなんて言われたの？

渡辺ーこれが現実だ、お前なんか偽物だって。

ポロポロ泣く渡辺。

目黒の知らないところで渡辺はいつも、辛い目に遭っている。

それを一言相談してくれたらいいのに、自分で抱えてしまう。

渡辺の悪い癖。治らない悪い癖。

目黒が渡辺にキスをする。

泣きながら拒む。

無理やりキスをし、服を剥ぎ取る。

渡辺は泣きながら嫌だと言う。

目黒ーこの身体は俺のもの。勝手に海に捨てるの許さない。

渡辺ーごめん・・なさい・・。

目黒ー謝ってもダメ、俺の身体を粗末にした。

渡辺ーな・・にする・・の・・？

目黒ー俺のだって、印付ける。

そう言って、タバコに火を付ける。

何度か分かっているのか？

目黒ーじっとしてて。

渡辺ーいや！やめて！

目黒ーダメ、見えないところにするから。

渡辺ーど・・こ・・？

目黒ー足の付け根。

足を横に広げ、内腿にジュッって音がした。

熱かったのは一瞬だが、渡辺は目黒が怖くなった。

渡辺ーやめて、もうやめて！

目黒ーあまり、分からないように薄くしたから。

渡辺ーこんなの酷い。

目黒ー俺の気持ち考えたことある？海で翔太くんを見つけた俺の気持ち。

渡辺ー・・。

目黒ー前は、無意識のうちにだったけど、今回は自分の意思で入ったよね？許さないから。

渡辺ーごめん。

目黒ー辛い目に遭ったら俺に言って？言わなかったら、そのスタンプ増えるから。

渡辺ーわか・・た・・。

目黒はタバコを吸ってる。

吸い終わったら自分はどうなるんだろう？

ゆっくり灰皿にタバコを押し付け消している。

タバコの味のキス。

優しく抱きしめて耳元で言う。

目黒ー酷いことして、ごめんね。 愛してるから。

渡辺ー・・。

目黒ーもっと俺を信じて？もっと何でも話して？

渡辺ーん、頑張る。

少しずつ話せるようになるのは、もう少し先のこと。

愛し合う時、目黒は必ずスタンプを愛する。赤い華でスタンプを消す。愛されてると信じたい。

完