「今日から文化祭の練習に入る」
今日の部活は、少し違うようだ。
一ヶ月後にある文化祭。
たくさん練習を積んで、みんなの前で発表をする。
…はずだったのに。
「すみません。今日はインフルエンザの為お休みさせて頂きます。」
母が言った。
そう、風が流行る季節だ。
後から聞いた話によると、部長やトリッシュちゃんもかかったらしい。
あぁ…
頭痛と吐き気がすごい…
とりあえず寝よう。
寝れば治る、きっと…
そのまま私は眠りに落ちた。
プルルルル。
電話の着信音だ。
だがそれに、私は気づかなかった。
「うーん…」
良い匂いがして、パッと目が覚めた。
「…えっ!?」
そこには、ナランチャがいた。
「ヨハネが熱出したって聞いたから」
「いや、なんで私の家知ってるの…」
ナランチャを家に連れてきたことはない。
何故、知っているのだろうか。
トリッシュちゃんかな?
でも別に、トリッシュちゃんも家に連れてきたことはない。
「いや、ヨハネいつもあそこの角曲がってるじゃん。その先の家一つしかないよ?」
「えっなにそれ、ちょっと引くんだけど…」
「お見舞いに来てやったのに、そんなん言うならもう帰る」
「あ、ちょ、ちょっと待ってよ」
せっかく好きな人と部屋で二人きりなんだもん。
帰られたくないよ。
「わかったわかった。」
「いやぁ…しんどい時は寝てれば良いんだけど、ちょっと楽な時は暇なんだよね…だからもうちょっといてよ。」
「いいぜ。おかゆ食べる?母さんが作ってくれた」
「うん。ありがとう」
「一人で食べれる?」
…この質問って?
あの漫画で見たのと同じ…!?
これって、食べれないって言ったら…
「て、手が震えてスプーン持てないかもな〜」
一回、言ってみた。
「じ、じゃあ、く、口開けて…」
ナランチャが赤くなる。
本当に、食べさせてくれるんだ。
な、なんだかドキドキする…
「あ、あー…」
一口、食べた。
「…お、美味しい?」
「うん!」
「…そっか」
「…照れてるでしょ〜」
「あ、当たり前だろ…」
「へぇ〜、照れてるんだ。」
「や、やっぱ今のなし!!」
「…もう一口食べたい」
…言ってしまった。
照れて赤いナランチャに、興奮している自分がいる。
好きな人に、もっと甘えたい。
恋愛なんて縁がないと思っていた私が、まさかこんな気持ちになるなんて。
「く、口、開けて…」
「あー…」
「あー………や、やっぱなし!自分で食べろ!」
「仕方ないなぁ〜」
しつこいのは嫌われるよね。
仕方ないので普通に食べることにした。
「あ!普通に食べれるんじゃん!」
「いや〜さっきまで震えてたの!」
「え〜、絶対嘘だろ〜」
へへ。
好きな人と二人で話して、ご飯も食べさせてもらって。
楽しいな。
この時間が、永遠に続けばいいのに。
…あれ?
なんだか、クラクラする。
頭が…ふわふわ…あれ…意識…が…







