僅かな間が空いたが、直後2人は猛スピードで突っ込んでいった。
確かにメイズは欠陥のない兵士として作られたが、それでも実戦はこれが初めてだ。対するサウザーは手練れの戦士。一筋縄ではいかない相手である。
一見すればサウザーが有利に見えるこの状況。だがメイズも一切油断はしていない。
現に、メイズを確実に狙っていたはずのサウザーの蹴りはメイズの腕一本で食い止められていた。自信があったサウザーの目に一瞬だけ動揺が走る。
メイズはその一瞬を、見逃さなかった。わずかコンマ数秒にしか満たないサウザーの心の揺らめきをその目で確実に捉えていた。
メイズはその手でガシっとサウザーの脚を掴むと、抵抗するサウザーにも全く動じずにそのまま勢いよく地面へ叩きつけた。
なんだこの女は。痛みに悶えるサウザーはメイズに対して漠然とそう思っていた。
しかしサウザーに戸惑っている時間などない。メイズはサウザーに容赦なく追撃をあびせる。誰が見ても「殺すつもりだ」と分かるような勢いだった。
「思った以上にやるようだな…。」
「あなたが弱いだけだと思いますが」
「こ、こいつ…!」
メイズに喧嘩を売るつもりはなかった。ただ純粋にそう思ったから言った。それだけだった。しかしサウザーは憤りを感じていた。
見下していたサイヤ人に一撃でここまで追い詰められている時点で彼のプライドには既に傷がついていた。にも関わらずメイズにあのようなことを言われたのだ、何もおかしなことはない。
だがメイズにとってはサウザーの憤りもまた些事にすぎない。感情のないメイズに彼の心情など分かるはずもないからだ。
だが、怒りを露わにするサウザーの表情にメイズはなんとなく興味を抱いた。なぜあのように顔を歪めてこちらを睨んでいるのか。知りたいと思った。
メイズは感情はなくとも、好奇心は持っているようだった。
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