「はぁ…はぁ…」
「……。」
メイズとサウザーの勝敗は明らかだった。誰がどう見てもサウザーに勝機などなかった。彼はメイズを前に完全に敗北したのだ。
サウザーは混乱していた。メイズはどこからどう見てもサイヤ人だが、そのサイヤ人に自分を打ち倒すほどの戦闘力があるとは全く思っていなかったからだ。
フリーザ軍の兵士にここまでの強者がいた心当たりもない。フリーザ軍の中でもトップクラスの強さを誇るギニュー特戦隊すら自分の相手にならなかったというのに、それをたった1人で超えてみせたメイズは何者なのか。
怒りを込めてメイズを睨むサウザーだったが、メイズは相変わらず表情ひとつ変えずにサウザーを見下ろしていた。
しかし、数秒後メイズはサウザーにこう問うた。
「なぜ、そのような顔をしているのですか」
「なに…?」
何を言っているんだ、この女は。突然場違いなことを聞いてきたメイズにサウザーは動揺する。そして同時に沸々と湧き上がる不快感。
サウザーを見下しているようには見えないが、傷だらけの自分を見下ろすメイズの目付きはサウザーにとっては決して居心地の良いものではなかった。
眉間に皺を寄せるサウザーだったが、メイズは相変わらず真顔のままだ。
「…あなたは今、とても歪んだ顔をしています。なぜそのような顔をするのですか」
「歪んだ顔、だと…?」
「ええ、眉を顰めて鋭い目つきをしています。どこか攻撃的です。なぜそのような表情をしているのか気になります」
「な、ナメたことを言いやがって…!」
今この状況において、メイズの言動はサウザーの感情を逆撫でする効果しかなかった。
こんな失態を犯した自分の姿を、誰にも見られたくはない。サウザーは心の底からそう思っていた。仲間に見られたらなんと言われるか。
…そして、彼が仕えるクウラにこんな姿を見られたら。使えない部下だと言われ切り捨てられるかもしれない。それだけは嫌だと思った。
だがそんな彼の切実な願いが叶うことはなかった。
「ずいぶん遅いと思っていたら…こんなことになっていたとはな」
「ク、クウラ様…!?」
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