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この作品は、次の話・または3話で完結させたいな と思ってます‼️ めっちゃ短くなると思うんだけど、その方が見やすいと思うんで!! 頑張ります(笑)💪🔥
ゴォォォォォッッ……
ザッブーン……
これは、何の音だろう?
波が岩に当たった音だろうか、何かがさらわれた音だろうか…
私は一体どこにいるの…?
波の音がするという事は、海…?
海に行った記憶は、私の中では無いのだけれど…
目をつぶりながらそんな考え事をしていると、更に波らしき音は強くなった。
目の前の景色が気になって、私はとうとう目を開けた。
そこに映っていたのは……
やっぱり“海”だった。
だけど、私が想像していた海とは違った。
もっと怒り狂った海かと思っていたけど、今は和やかで優しい波が 足首に当たる程度だった。
そう、私は浜辺に 一人横たわっていたのだ。
太陽の光が眩しい朝、私は浜辺を独り占めして 寝転がっていた。
心も体も温まって、それを冷やすように 波が体に打ち付ける。
こんなに心地良いのは初めてだ。
でも…
今どこにいるのか、全く分からない。
声も聞こえない、音がしない。
こんな世界、私が見てきた都会とは違う。
「(そうだ、家の住所…)」
私は、家の住所を思い出そうと 懸命に記憶を蘇らそうとした。
でも、最悪なことに 住所は思い出せなかった。
その代わり思い出せたのは、私の過去だった。
確か、私は家で気絶した。
理由は分からないけど、急にめまいに襲われて倒れ込んだ。
その後はよく覚えておらず、視界が闇に包まれて、最後には 誰かの涙をすする声が聞こえた気がした。
――そして、今に至るという訳だ。
一体どういう経路で海にやって来たのか……
とりあえず、ここでも生き残らないと…
人を見つけて、助けてもらおう。
そんな事を考え、私は体をゆっくり起こした。
そして周りを見渡す。
―――砂しか視界に入らない。
人は全く見当たらないし、たまに見えるのは貝殻だけ。
その貝殻も、これまでに見たことが無い 奇妙な色合いをしていた。
「んん……」
心の中の、不安の声が漏れる。
その声は、静かに砂に染み込んでいく。
どんどん吸い込まれていって、最終的には声が出せなくなってしまった。
――更に焦り始めた私。
だけど、ここで思わぬ出来事が起きた。
「ねぇ、君は誰?」
「…!」
私の耳に入り込んできたのは、繊細で、かつおっとりした 男の子の声だった。
たぶん私と同じくらいの年齢の子なんだろう。
まだその子は視界に入っておらず、声しか聞こえなかった。
それを疑問に思い、私は質問を仕返す。
「君が見えないよ… どこにいるの?」
そう言うと、私の目の前に ぼんやりと人の形が浮かび上がってきて、
輝く瞳が私を 興味津々で見つめていた。
「ここにいるよ、僕。」
「うわっ… 急でびっくりした… 今さっきまでどこにいたの?」
また質問すると、彼は表情を変えずに 答える。
「無の空間に居たんだよ―――。 それよりさ、早く名前教えて?」
「あ、うん… 私は“静乃(しずの)”。君は?」
「僕は―――。 “爽牙(そうが)”。10才。」
「爽牙くんか___。 あと、私も10才だよ!同じだね!」
「うん―――」
彼は謎の笑みを浮かべた後、ゆっくりと 口を開いた。
「静乃は、ここがどこか知ってるの?」
「え…… 知らないなぁ…。 君は知ってるの?」
「知ってるよ。教えてあげようか?」
爽牙くんは いかにも言いたげの様子だったから、私はこっくりと頷いた。
すると、座り込んでいる私の口に 人差し指を当てて、『絶対秘密だよ?』と言った。
それに続けて、同じ口調で私に言葉をかけた。
「ここはね……」
―――「天国でもあり、地獄でもある場所。絶対抜け出せないところだよ。」―――
「え……?何それ…」
率直に言葉を返す私に、彼は優しく答えてくれた。
「えっと… つまり、もう君は 『死んでいる』 んだよ。僕もだけどね…」
「は……!?」
爽牙くんの口調に合わない 言葉の数々に、私は唇を噛んだ。
更にと、隙を作らずに言葉を続ける。
「ここから地球に戻るには、ミッションをクリアしないといけないよ____。」
「ミッション…?」
「うん―――。僕達はね、心臓が止まって死んだわけじゃないんだよ。」
「…」
「知らない人に、この世界にさらわれただけ___。 今、僕らは神隠しにあっている状態だね。」
「神隠し……」
聞いたことのある言葉に、私は妄想を繰り広げる。
死んでしまったけど、元には戻れるという事。
今、神隠しにあっているという事。
地球に戻るには、ミッションをクリアしないといけないという事。
全て理解した。
でも、他に誰もいないのは何故だろう。
その私の 言葉にならない疑問を見透かしたかのように、彼は答えてくれた。
「誰も居ないのは、さらわれたのが僕らだけだから___。 僕らは試されてるんだって。」
「……。 でも、なんでそれを爽牙くんは知ってるの?」
「えっと___ 僕は最初の人だから、2人目の君にこの事を教えてあげなさい って言われたんだ。」
「それが、さっき静乃に教えてあげたこと、全部。」
「なるほどね____。」
つまり、私達は 一緒にミッションをクリアしていく“仲間”―――。
協力できれば 地球に戻れるよね―――!
私は、少し希望を持てた気がした。
でも爽牙くんは、「ただし――。」と話し始めた。
「ミッションをクリアできなければ、僕らは地獄に落ちるんだって____。」
「地獄に、落ちる……?」