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朝の光が部屋の窓から差し込んできた。イレブンとセーニャは、昨日の話し合いを経て、互いに少しずつ心が軽くなった気がしていた。試練に対する不安はまだ完全に消えていないが、少なくとも二人の間に新たな確信が芽生えた。
「イレブン様、おはようございます。」
セーニャが小さな声で挨拶をしながら、ベッドの横で顔を洗い終えた。彼女はまだ少し眠そうな目をしていたが、その顔には心なしか明るさが漂っている。
「おはよう、セーニャ。今日は少し早起きできたね。」
イレブンは笑顔を浮かべ、セーニャに軽く返すと、彼女も少し照れくさそうに微笑んだ。
「はい、少しだけ早く目が覚めて、なんだか気分が良いです。」
セーニャは頬を少し赤らめて、髪を整える手を止めた。その姿を見たイレブンは、ふっと微笑んだ。
二人はしばらく静かな朝の時間を過ごし、いつものように朝食を共にした。その後、二人は学校へ向かう準備を始めた。今日は特別な授業が行われる日だった。
「今日はどんな授業があるんでしょうか?」
セーニャが、少し緊張した様子で言った。試練に関わる授業が増えてきていたから、何か大きな変化があるのではないかと不安に感じているのだろう。
「確かに、少しだけドキドキするけど、頑張ろうね。」
イレブンは優しく彼女に微笑みながら、心配しなくていいよと伝えた。その言葉にセーニャは安心し、頷いた。
その後、二人は学校に向かう道を歩きながら、話を続けた。
「イレブン様、私、少し気になることがあるんです。」
セーニャが唐突に言うと、イレブンはその言葉に驚いたように振り返った。
「気になること?何かあったのか?」
イレブンは少し心配そうにセーニャを見た。
セーニャは少し考え込んだ後、勇気を出して話し始めた。
「実は…試練のことについて、少し調べてみたんです。でも、私が調べた内容には、どうしても納得できない部分があったんです。」
セーニャは少し言葉を濁しながら続けた。
イレブンはその言葉に真剣に耳を傾けた。
「どんなことを調べたんだ?気になることがあれば、話してみて。」
イレブンは心からセーニャの話を聞こうとしていた。
セーニャはイレブンに向かって深呼吸をし、続けた。
「実は、この学校で学ぶ内容の中に、結婚に関することがたくさんあるんですが、どうしても引っかかる点があるんです。試練が終わった後、私たちが結婚することが決まっていると聞きましたけれど…その理由がよくわからないんです。」
イレブンは少し考え込み、そして真剣な顔でセーニャを見つめた。
「それは僕も気になっていた。僕たちが一緒になる理由…それが試練にどんな関係があるのか、まだよくわかっていない。でも、僕たちが信じているものを大切にすることが、試練を乗り越えるために必要なんだと思うんだ。」
セーニャはその言葉に少しだけ安心したが、依然として心の中には疑問が残っていた。
その時、校舎が見えてきた。二人は少し足を速めて、学校へと向かっていった。授業が始まる時間だった。
「イレブン様、私も信じています。でも、どうしてもその後のことが不安で…。でも、イレブン様が一緒にいるなら、大丈夫だと信じたい。」
セーニャは心の中で、少しだけ自分を信じる勇気を出すことができた。
「セーニャ、僕も君を信じているよ。お互いに支え合って、この試練を乗り越えよう。」
イレブンはセーニャに微笑みかけ、彼女の手をそっと握った。
その瞬間、二人の間に何かが通じ合ったような気がした。試練の先に待つ未来が、少しずつ形を見せ始めているのかもしれない。
次回予告:
第18話では、学校で行われる新たな試練が明らかになる。イレブンとセーニャが、試練の内容にどんな反応を見せるのか、二人の関係がさらに深まっていく中で、大きな決断を下さなければならない時が訪れる。