「あの子とはもう」
新幹線から降りてすぐ、むっとした暑さが体を包んだ。
ホームの時計は21時35分を表示している。
ここで降りた人はまばらで、 日比野(ひびの)に「着いたよ」とメッセージを送り、改札へと向かった。
(来ちゃったな……)
ビジネスマンの後ろについてエスカレーターを降りながら、心の中で呟く。
勢いでの行動だったけど、自分でもよくわからない緊張のような、後悔のようなものが胸をよぎっていた。
改札の向こうには、スマホをいじる日比野の姿が見えた。
一瞬、近づくのが躊躇われたけど、ここまで来たのだからもう行くしかない。
改札を抜けると、日比野が私に気づき、嬉しそうに笑った。
「お疲れ。なにか食べてきた?」
「あ、さっき新幹線の中で食べたよ。今日はお客さんと一緒だったんじゃないの?」
たいてい出張が入ると、取引先の人と食事をとるのが恒例だった。
「一緒だった*************************
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