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最近よく、吐き気を感じる。しかし、実際に吐いたことはない。吐き気は日によって違いがあるが、今日は一段と吐き気が強く感じられる。
私は、自分の部屋にあるゴミ袋の中に顔を突っ込んだ。吐き気が込み上げてきた。そして、私は吐いた…
「な、何これ」
私の吐いたゴミ作ろの中には花があった。花を画像検索にかけた。花はニゲラという花だった。花吐き病については知っている。私の友達が一度かかってしまったことがある。その時、私はその子が吐いた花に触れてしまった。だから感染してしまった。
私は、今メンバーのyaくんに恋をしている。ほんとは彼のことを想ってはいけないってわかってる。でも、諦めることができない。それほどまでに私は彼のことを愛している。
yaくんは、naさんと付き合ってるんだと思う。最近、yaくんとnaさんが一緒にいるのをよく目にする。
「ぅ…」
吐き気が押し寄せてきた。
「…黄色いチューリップ」
やっぱり叶わないかなぁ…
これは捨てなきゃ、一旦押し入れに入れておかないと見からないように気をつけないと
「etさん、そろそろ撮影始めるよ」
「わかった」
今は、撮影に集中しないと…
ニゲラ:深い愛、叶わぬ恋
黄色のチューリップ:報われぬ恋
「naさん、ちょっといい」
「どうしたんですか」
「ここだとちょっと」
「あ、わかりました」
リビングで過ごしてると、naさんとyaくんのやりとりを目にする。だから、リビングでゲームをする時と必要最低限の時以外は自分の部屋で過ごすようになった。
「はぁ~、リビングに来なければよかった」
「etさん、どうしたこんなとこに突っ立って」
「ん、ur。いや何しに降りてきたのか忘れちゃって」
「何やってんだよぉ」
「あははっ、本当にね」
「で、どうすんの。リビングはいんの」
「ん~、いいや。部屋戻るね」
「じゃあ、またな」
「またね」
ヤバっ、吐きそう。早く部屋に戻ろう
私は自室に駆け込んだ
「ウッ…」
なんの花だろう。スマホをかざして画像検索にかける。花はリナリアというものらしい。画像検索だから正しいかどうかは分からない。でも、吐く花はその人の思いを表しているというからリナリアの花言葉は心の中で渦巻いている感情そのものだ。バレンタインがあるからちょうどいいかもしれない。
yaくんに告白して、バッサリ振られて諦められるようにしようかな。バレンタインになる頃には花吐き病の症状も進行して、1日に2、3回は吐いているだろう。花吐き病の花は人の血液だと言われている花の形をしていても吐血しているのに変わりはない。恋を叶えるか、諦めるかしないと私は近い将来死ねことになる。yaくんを想って吐いた花に囲まれて死ぬのもいいかもしれないと思い始めてしまっている自分がいる。でも、からぴちの活動があるから死ぬわけにはいかない。早く振られて、諦めよう。
リナリア:この恋に気づいて
バレンタインにこの恋に終止符を打つと決めてから、数週間が経った。明日はいよいよバレンタインだ。今日は友達の美歌の家に行ってチョコを作らせてもらった。チョコ作りは午前中で終わったから、お昼を食べて午後3時ごろにはシェアハウスに帰る予定だった。
しかし、私は美歌の家に泊まることになった。美歌と最寄り駅に向かっている途中にバレンタインフェアがやっていることをチラシで知り、そのお店まで行ってみることにした。今では、後悔しかしていない。そのフェアにyaくんとnaさんがいたからだ。
私は、気持ちが混じり合い、花を吐いてしまった。花は、ルリタマアザミだった。そこで、美歌は私の心情を理解したようだ。美歌も花吐き病になったことがある。だからこそ、私を連れてきた道を戻った。じゃっぴには、メールで今日は帰れないことと明日も帰るのは夕方になることを伝えた。
明日は、美歌とさっきのバレンタインフェアに行くとにした。美歌が自分の好きなものに囲まれた方がいいって誘ってくれた。美歌自身も嫌な場面を見たところに行かない方がいいって思ったかもしれないが、沈んでいるよりはいいだろうと誘ってくれた。美歌がお父さんに頼んでくれたのだ。バレンタインのフェアは予約が必要だったが、美歌のお父さんがフェアの行われている場所のオーナーだから今回は特別に予約なしで席を確保することができた。明日は、楽しもう。
ルリタマアザミ:傷付く心
「et、行くよ」
「うん」
「et、いっぱいチョコが使われてるスイーツがあるよ」
「本当だね」
「いっぱい食べて、気分晴そう」
「もちろん」
美歌と思う存分チョコを楽しんだ後、駅の中に入っている百均や服屋を見て回った。美歌との時間は花を吐くようになってから感じたことがないような清々しい気持ちになれた。
でも、そんな時間は長くは続かない。重い足取りで私はシェアハウスに戻るために電車に乗った。さっきまでは、時間が経つのが早かったのに行きと同じ3駅分の時間がを長く感じたられた。
「ただいま~ぁ」
「あ、etさんおかえり」
「ん?どうしたの、なんか元気なくない」
「いや、etさんからチョコもらえなくて悲しいなぁって思っただけw」
「そうだった、まだあげてなかったね」
「みんなは今、リビングにいる?」
「…!いるよ」
「じゃあ、渡しに行かないと」
「みんな、ただいま」
「お帰りなさい、etさん」
「はい、これ」
「みんなへのチョコ」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
「なんかみんな暗くない」
「どうしたの」
「etさん今日さ、遊んだ友達って男の子?」
「え、女の子だけど」
「ほんとに…?」
「ほんとだよ。急に何でそんなこと聞くのさ」
「etさん、本当のこと言ってよ!」
「y、yaくん」
「俺見たんだよ。etさんが男の人と一緒にバレンタインフェアに行ってるの」
「本当だって言ってるじゃん!美歌はボーイッシュな格好してるだけで普通の女の子だよ」
「何で、疑われなきゃいけないの」
「べつに私が女の子と行こうが男の子と行こうがyaくんには関係ないじゃん」
「関係なくない」
「な、なんでよ」
「なんで期待させるの」
そこで私は耐えきれずに花を吐いてしまった。
「e、etさん」
「大丈夫ですか」
「yaくんその花には触っちゃダメですよ」
「n、no兄」
「花吐き病ですね。白いアネモネ花言葉は「期待」、ホテイアオイ「不安」そして、エニシダ「恋の苦しみ」」
「etさんは誰かに恋をしていたんですね」
「…、誰なのそれ」
「yaくんには関係ないよ」
「だから、関係なくないって」
「メンバーだから…?だから関係なくないっていうの」
「違うよ。俺がetさんのこと好きだから」
「メンバーとしてじゃなくて1人の女性として」
「え、naさんが好きなんじゃないの」
「わ、私ですか!」
「だって最近、yaくんとnaさんがよく一緒にいるの見かけたからてっきり」
「付き合ってるんだと」
「えぇぇ、そんなこと思ってたの」
「だ、だから私諦めようと頑張ってみたけど…無理で」
「それで昨日も2人がバレンタインフェアに行ってるのみて、帰りたくなくなって」
「それで、このまま死んでもいいかなぁって考えてたのに」
「全部私の勘違いだったってこと」
「俺もごめんね。勘違いさせるような行動取っちゃって」
「最近naさんといたのは相談に乗ってもらってただけだよ」
「etさん、好きだよ。付き合ってください」
「グスッ…私もyaくんが好き。こんな私でよければよろしくお願いします」
yaくんは私に飛びついてきた。みんながいる前なのにも関わらずyaくんは私の唇に自分のものを重ねた。
yaくんと離れるとまた吐き気に襲われ、花を吐き出した。私の手の上には白銀の百合があった。
「よかったですね。完治して」
「noさん、気づいてたんですか」
「はい、etさんから微かに花の匂いがしたので」
「さすが、花好き」
「no兄、etさんと何話してるの」
「ヤキモチですか、yaくん」
「う、うるさいなぁ。いいでしょ別に」
「あははっ」
こうして私の苦いようで甘い恋は実ったのだった。