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第6話:クライマックス — 大規模な戦乱が襲う
ある朝、遠くの山々から黒い煙が立ち上るのをユウは目にした。
「…これは…大規模な戦争だ」
仲間たちと顔を見合わせる。ダディの表情は厳しかった。
「逃げるしかないな。正面から戦えば、全員命はない」
ユウは地図を広げ、安全な迂回ルートを確認する。
「森を抜けて川沿いを進もう。村に迷惑をかけずに通過できる」
ミルキーが心配そうに訊く。
「でも、途中で敵に見つかったら…?」
「その時は…知恵で生き延びるしかない」ユウは冷静に答える。
旅路の途中、戦火に巻き込まれそうになった村に出くわす。焼け落ちた家々、逃げ惑う人々、泣き叫ぶ子ども。
「ここは…助けなきゃ」ユウの心が震えた。
アスルファが薬草を取り出す。
「急ごう、手分けして負傷者を助けるのよ」
ユウは仲間と共に、負傷者を抱え、安全な避難所へ導く。
戦場の叫び声が遠くで響く。ハクが剣を握り、警戒する。
「ここまで戦争の影響が大きいとは…」
「でも、無駄に戦わずに助ける方法もある」ユウは声を低く返す。
夜、焚き火の周りで疲れ切った仲間たち。
「今日もなんとか生き延びたな」ダディが笑みを浮かべる。
「うん、でも明日も油断できない」ユウは目を閉じ、深く息をつく。
戦争で命を落とす者も多かった。村人、兵士、旅人…その姿がユウの胸に重くのしかかる。
「僕は…寿命で死ぬまで、生き延びなければ」
小さな声で呟き、ユウは仲間たちを見渡す。彼らもまた、生き延びるために戦っているのだ。
翌朝、山間部を抜ける時、遠くに煙と炎が見える。
「気をつけて…慎重に」ユウは仲間に声をかけ、足を進める。
川を渡り、森を抜け、戦火の影から距離を取るたびに、ユウの心は少しずつ落ち着きを取り戻す。
丘の上に着いた時、ユウは静かに空を見上げた。
「生き延びた…僕たちは、生き延びたんだ」
仲間たちと視線を交わす。笑顔は疲れきっているが、希望が宿っていた。
この世界で、命を守るために知恵を使うことの重みを、ユウは初めて理解した。
「戦いを避けるだけでなく、助ける力も必要だ」
焚き火の光が、仲間たちの顔を柔らかく照らす。生きることの尊さを胸に、ユウは明日もまた歩き続ける決意を固めた。