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42 - 第42話 救護室

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2024年12月24日

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零は暗い救護室のベッドに横たわっていた。その体は渋谷との戦いの影響で深い傷を負い、包帯が全身を覆っている。周囲には神域の者たちが集まり、彼を懸命に看護していた。

「しっかりして、零!」

高く澄んだ声が響く。神域の癒し手である少女・ルナが彼の額に布を当て、冷やしていた。彼女は幼い見た目ながら、治癒能力は抜きんでており、神域の生命線とも言える存在だ。

「おい、もっと薬草を持ってこい!」

怒鳴るのは筋骨隆々の男・ガイア。彼は零を運び込んだ際、大きな切り傷を負っていたが、零の治療を優先して動き回っている。

「ったく…よくもこんなになるまで戦ったもんだ。」

ガイアがぶつぶつ文句を言う中、ルナが手をかざして零の胸元に淡い光を注ぎ込む。零の痛む傷口が少しずつふさがっていく様子を見て、他のメンバーもほっとした表情を浮かべた。

ぼんやりとした意識の中で、零は誰かの声を感じていた。

「お前は死ぬべき存在じゃない。」

それは遠い昔教皇から聞いた言葉。冷たく荒れた心の奥深くに染み込んだその言葉が、今も零を支えているようだった。

「教皇…俺は…」

微かに声を漏らす零。だが、その声はすぐに途切れ、彼の意識は再び暗闇に沈んでいった。

「傷は深いけど、命には別状ないわ。」

ルナが安堵の息を吐きながら言う。

「当たり前だ。あいつがこんなところでくたばるわけがねぇ。」

ガイアが腕を組みながら言うと、他のメンバーも頷いた。

「でも、これ以上零さんをこんな目に遭わせるわけにはいきませんよ。」

若い少年が口を挟む。彼は神域に新たに加入したばかりの新人・エルで、零を心から尊敬している様子だった。

「そう簡単な話じゃない。あいつの選ぶ道は常に危険が付きまとう。」

ガイアが渋い顔で答える。

「でもさ、零って案外、人に助けられるのが嫌いじゃないんじゃない?」

ルナがふわりと微笑む。その言葉に、一瞬沈黙が訪れるが、やがて全員が小さく笑った。

「それは…たしかに。」

ガイアが苦笑する。

救護室の騒がしさをよそに、教皇は神域の屋上で夜空を見上げていた。

「零、お前がこうしてまだ戻ってきているということは、やはり運命が動いているのかもしれないな。」

彼の手には、破られた自分の写真が握られていた。零が破ったものをそっと拾い上げたのだ。

「お前がこの先どんな選択をするにせよ、私はそれを見届ける。それが…私の役目だ。」

冷たい風が教皇のローブを揺らし、月光が彼の鋭い瞳を照らした。

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