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MADバニとと②
禁煙するとか言ってたときに思いついた話ですわ
バニとと増えねぇかな…
謎のノリで始めた禁煙。
ニコチン不足のイライラを部下にぶつけないよう、俺は警察署の屋上でひっそり座り込んでいた。
夜風に当たりながら気持ちを落ち着かせていると、背後から足音が近づく。
「よっす」
『…どうしたの?』
「俺もサボりや」
『その言い方だと、俺がサボってるみたいに聞こえるんだけど』
「あれ、ちゃうの?」
くすっと笑いながら、いつもの調子で隣に腰を下ろすととさん。
俺がここに来た理由なんて、とっくに分かってるくせに。
二人で駐車場の仲間たちを上から見下ろしていると、不意に何かが差し出された。
「これ、やるよ」
『ん?』
ととさんの手のひらには、色とりどりの飴玉が転がっていた。
甘い味ばかりで、思わず「ああ、こういうのが好きなんだ」と彼の好みが察せられる。
「なんでもええから好きなの取れ」
『…ありがと』
これも彼なりの励ましだろうと思い、青い包みをひとつ取る。
包みを剥がして口に放り込むと、シュワッとした感覚が広がった。ソーダ味らしい。
隣のととさんも、赤い包み紙を剥がして飴を舐めていた。
数回転がしてから飴を噛み砕いた瞬間、隣から大声が上がる。
「あ゙! お前それ、タバコ代わりになりそうやから持ってきてやったのに!」
『あ、え、この飴ってそーゆーこと?』
「俺がただお菓子持ってきたとでも思っとったんか」
『いやぁ、てっきり励ましてくれてるのかと…』
「んなわけあるかい!」
悪気がないのは分かってるけど、真っ向から否定されるのは地味に傷つく。
手持ち無沙汰で、包み紙をガサガサさせながら飴を舐めているととさんに視線を向ける。
気付かれたのか、ジトッとした目が返ってきた。
「…なんや」
『ととさんの飴って何味?』
「俺のはいちごやけど」
『ふーん』
やっぱ甘い味が好きなんだな、とぼんやり思っていると、飴で少し膨らんだ頬を叩きながらととさんが口を開く。
「いるか?」
『え、くれるん?』
「別にええけど」
お言葉に甘えてぐいっと体を引き寄せる。
何故か驚いたように目を見開いていたけどそんなのお構い無し。
噛み付くように唇を重ね、驚きで半開きになった口の中に舌をねじ込む。
「ん゙ん…!っ、んぅ゙…」
ととさんが逃げないように頭を押さえるけど、抵抗して離れようと体を押してくる。
でも、全然力が入ってなくて可愛い。
数秒経てば動きも大人しくなり、口から漏れ出す声も甘くなってきた。
口の中のいちご味をある程度楽しみようやく長いキスを終わらせると、ととさんの体から力が抜け、ズルズルと体重を預けてくる。
俺は俺でととさんの体を支えながら口に残った甘さを再度確認する。
『…甘い』
「そりゃ、そうやろな…!」
息切れしているくせに元気よくツッコんでくるから、俺は苦笑しながら背中を軽くさすった。
「なんで、お前はこうも、人目に晒される場所でキス出来るんや…」
『屋上だし見られてないよ』
「そういう話しちゃうわ」
まだ文句を言っているけど、 人に見られるのが気になるなら、この密着状態の方がよっぽど危ない気がする。
……けど、それを口にすると確実に怒られるので黙っておくことにした。
『ねー、ととさん』
「なんや」
『…もう一回、だめ?』
次の瞬間、屋上から放り出されかねない勢いで突き飛ばされた。
『うわっ…!?』
幸い、よろけただけで踏みとどまれたけど、
一歩間違えば本当に危なかったと思う。
当の本人はというと、顔を真っ赤にして完全に取り乱している。
「〜〜〜っ!!!バカバカバカッ!!」
『ちょ、ちょっと待って! 今の本気で危ないって!』
「知るか!!自業自得や!!」
怒鳴りながらも距離を取り直すととさんは、
分かりやすく動揺していた。
「もう知らん!お前にはこれだけで十分や!」
そう言い捨てて、何かを床に叩きつけると、そのまま去っていった。
屋上に残されたのは俺ひとりと、 床に転がり、割れてしまった一つの飴玉だけだった。
割れて欠片となってしまった真っ赤な飴玉を拾い上げ、口に含む。
『…甘いなぁ』
大分間を空けました。
だが満足