なんだ、この格好は…
俺の目の前に座ってスマホに夢中なこのうさぎみたいな奴は、チョンジョングク。
今日の彼は相当顔のコンディションが良く、撮影中にもアイコンタクトをとって狙っていたのだが…
「ぐが〜…ほんとにそのサイズで良かったの?」
「なんで?」
鈍感なのかわざとなのか、全く気づかなかった。
「だってほら…胸元、あきすぎじゃない?」
新しく買ったであろう部屋着――パーカーは、なんともオーバーサイズで胸元がガラ空き。
少しでも近づけば、その隙間から上半身など見ようとせずにとも見えてしまう。
「オーバーサイズですけど…可愛いでしょ?」
「んまあ、…うーん…」
「なんでだめなの?ヒョンにしか見せないから大丈夫ですよ」
「ほんと?ジミニにも、メンバーの誰にも見せない?」
「もちろん」
ならいいや、と思って頷く。
ほかのメンバーに裸見せたことがないとかじゃないけど、ほら、裸よりちょい見えの方がムラムラするって言うじゃん。
「ヒョンも着てみます?似合うと思いますよㅋㅋ」
「え、でも…」
「いいから、はい」
俺がいいよ、という前に、もう上裸になって服を差し出してきていた。
どんだけ準備が早いんだ…
「…」
あまりにも見すぎ。
いつも見られてるから恥ずかしくは無いけど、こんなに着替えてるところをじっと見られると少し照れる。
だぼっとしてて服にしては重いそのパーカーに首を通す。
その時にフードを被っちゃったけど、呆れたように笑ったジョングガがとってくれた。
腕を通す前に、いい匂いがぶわっと広がってきた。
俺と同じ柔軟剤だけど、体臭というか、ぐがにしかない匂いがある。
「いい匂い…ふふ」
「髪ぼさぼさですよ」
グガは表情一つ変えずにそう発す。
なんだよ、お前が着てほしいって言ったんじゃん。
「なにその反応、お前が着てって言ったのに」
「…そんな事言われても、今自分がしてる格好わかってますか?」
そんな事ってなんだよ、…
そう思いつつも視線を自分の身体に向けた。
「え、あ」
首元がほぼ胸の辺りまで下がっていて、ジョングガは近づけば見えるって感じだったけど…俺は、もう、ああ、これ脱がなきゃ
「あ〜、ちょっと待って、こうすれば…」
そう言って、急に近づいてきた。
「ん…」
よくわからないまま目をつぶったと言うのに、お前はフードを持って後ろにずらした。
「あ、ごめんなさいㅋㅋふはは、あは、ヒョンㅋㅋ」
「首ないじゃないですかㅋㅋㅋㅋ」
「え?…ほんとだ、ㅋㅋ」
ずらしすぎたのか、苦しいと思ったら後ろにずらしすぎてもう首がほぼ見えなくなっていたㅋㅋ
「え、じゃあ背中…ㅋㅋ」
「あはは、っ、はは、背中丸見えだよㅋㅋ」
「もういい!脱ぐ!!ㅋㅋ」
「うんㅋㅋ」
そうやって大笑いして話がひと段落ついた後、また話し出した。
俺は元着ていた服を再度着直す。
「ひょん、ところで俺がそれ着てた所を周りにみられたら…って心配してくれてたんですね」
「え、うんだって…普通に、良くないじゃん」
「んふふ、嫉妬ですか〜?」
「そうだけど」
おっ?と笑って俺の頬に手を添え、軽くキスをした。
「大丈夫ですよ、俺はヒョンのものだし」
「うん、俺もグガのもの」
暫く見つめあったあと、ぐがは口を開いた。
「でも〜、ヒョン狙われてるの気づいてますか?」
「?」
「はあ…、えっとね」
「ひょんはかっこよくて可愛いでしょ?俺が今までに見た事ないくらい、すごい整ってて…それで優しくて、いい匂いがして、ダンスが上手くて、落ち着くいい声で、…そうやっていっぱいいい所がありますよね」
「だから、俳優ヒョンたちに、゛狙われてる゛んですよ」
「うーん…あんまピンと来ない」
「だって、ヒョン達とは一緒にお風呂とか旅行とか行ってるけど1回も変なことされてないもん」
「そうですか?それなら良かった」
「でもね、俺は、俺のヒョンが他の人に取られることが心配なんです」
「も〜ぐが、そんなに俺の事好きなの?」
「かわいいㅋㅋ、おいで」
「…はい、」
そう言って腕を広げると、仕方なくという感じで抱きついてきた。
「ヒョンは大丈夫だよ」
「お前も他の人に取られたらダメだからね」
「はい」
「っていうかヒョン…同じ柔軟剤のはずなのに、やっぱりいい匂いしますよね」
「んーそう?」
「あー待って、まだこうしてて」
そろそろ苦しいと思って腕を離そうとすると、強い力で押さえつけられた。
「?…うん、」
「あー…好きですヒョン、愛してる、愛してます、俺のテヒョンイ」
「可愛くて、かっこよくて、優しくて守りたくなる…俺より年上なのに、俺より繊細で」
「ずっと一緒にいてください…」
「なに急に…?ㅋㅋ俺も同じだよ」
そういうと、グガは俺から腕を緩め、しばらく見つめてきた。
頭を撫でられ、そのまま指を唇にするりと滑らせる。
ふにふにと触る指から、体温が伝わってくる。
「心臓の音凄いですね」
「頭撫でられるの昔から弱いよね」
「だって近いから、」
「おまえは…ドキドキしないの」
「しますよ、ほら」
俺の手を胸元に持っていく。
俺と負けず劣らずで、中々に鼓動が早鐘を打っていた。
「いひひ、マジじゃん」
「当たり前じゃないですか…」
「こんなに整った人を前にしてしない方がおかしいですって」
「俺のセリフだよ、ジョングガ」
「ほんとかっこいいよ、可愛いし」
言葉に任せてそのまま軽く口付けをすると、グガは少し目を見開き、何かを考えてからそう言い放った。
「ヒョン…」
「襲っていいですか」
「……」
「いや、それって許可とる物じゃ…」
「いいってことですね」
見える背景がガラリと変わった。
ここまで読んでくれてありがとうございました^^
2話は少し大人めな話になりますので苦手な方はご自衛頂けると幸いです🥲💦
次回の話をお楽しみに♡
コメント
6件
久し振りにテラーを開いてみたら、いきなり素敵な作品に出会えて幸せです…。次回作も楽しみにしています…!
まってやばい がちですきかわいい
めっちゃ好きです !! 話作るの上手すぎません ?? 続き楽しみにしときます~ !!