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下を向くと地面が見えないほどのデカく美しい胸!
綺麗で透き通った白い肌に細い指!
「ぎょえええええ!ええええええええええええええええ!?」
城内に響き渡るのは自分で出した声なのに聞いた事のない綺麗な女の声!?
俺、女になってるぅううう!?
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《異世界“てんせい”前夜》
「人の人生は平凡で平和で何も起きず死んで逝く、これが人間の1番の幸せじゃないか?弟よ」
「……酔ってる?」
どこにでもある小さな居酒屋……時刻は21時を回った頃で周りが騒がしくなり始める。
「あ、分かっちゃった?まぁでも飲み会なんだし酔うのが普通よ!あむ!……くぅ!この鶏の唐揚げ美味え!居酒屋の唐揚げって何でこんなに美味いんだろうな!?美味すぎる!殺人的だ!そしてやっぱり唐揚げにはこれ!日本酒!」
どこかのアニメのワンシーンを再現するように鶏の“天ぷら”を食べながら豪快に日本酒をとっくりから直接飲む彼の名前は【カツラ タダシ】
「……兄さん声が大きい、それに26歳なのに日本酒はじじくさい」
そんなタダシとは真逆に淡々と答えている相手は【カツラ ヒロユキ】
タダシとは兄弟で2歳離れている弟だ。
「はいい?もう25過ぎたら四捨五入で30なの!おじさんに片足突っ込んでるんだよ、今更若作りしたところで老いという物からは逃げれないのだよ、俺はこれからダンディーなおじさんを目指す!」
「……ふーん」
兄の話を半分だけ聞きながらカシスオレンジを飲む。
「……にがっ」
「お前本当にお酒苦手だよな、カシスオレンジとか俺にとっちゃジュースよジュース……で話戻るんだけど、俺って平凡じゃない人生送ってたと思うんだよね」
「……確かに、兄さんは高校時代テスト全教科赤点で留年の可能性もあった」
「うぐ……これでも中学二年まではかなり優秀だったんだぞ!」
「……そう言えば、中学二年の時、なぜ兄さんは不登校になったの?」
「うーん……それは……」
タダシは新しく来た日本酒を水を入れてたグラスに全部注いだ後、そのグラスを空にして店員を呼びおかわりを貰う。
「そうだな、そろそろお前にも話していいだろう」
「……?」
「俺はな、中学二年の頃いじめられてたんだ」
「……なるほど」
「なるほどって飲み込みはや!……あの時期の人間って思春期じゃん?色々周りを気にしちゃう時期じゃん?俺ってお前の知ってる通り中学はぶーちゃんだったのよ、それが理由でいじめられてたって訳……女子に」
「……女子になんだ」
「お前!舐めちゃいけないよ!あの頃の女子とかほんとヤバイからな?学校でバカみたいな不良の前ではメスの顔になって可愛さ出して裏ではドロドロの格差社会!女の中でも格付けだらけ!あいつらほんと猿だよ猿!もちろんいい奴も居たかもしれないが俺にとって女子なんか敵にしか見えねぇよ」
元々饒舌だったのも増して口に油でも挿したのかというほど出るわ出るわ『女性』に対しての悪口。
「……兄さん落ち着いて」
この居酒屋にも女性客はもちろん居るのでトラブルにならない前に弟が止めに入る。
「おっとすまんすまん、まぁ俺をいじめていた奴は学生ピラミッド最上位の女でな、そいつの命令でほとんどの女が俺をいじめてきて学校行くのが嫌になって不登校になったんだよ」
「……」
「母さんにカウンセリングの病院に連れていかれたんだけどさ、なんか良くわからない質問と変な部屋につれてかれたりして出た結果が【女性恐怖症】だったのよ」
「……女性恐怖症?」
「あぁ、某サイトで調べたら“女性との交流を極度に恐れたり、女性と話すとひどく赤面したり、女性と一緒にいると不快感を覚えるといった病的な心理のことである”って書いてあったんだよ、俺の場合は「不快感」っていうのがすごくてな……まじ吐きそうになる」
「……そんなに?」
「あぁ……輪廻転生死んで生まれ変わったとしても!ぜっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっったいに!」
タダシはお酒を一気に飲んでドンッ!と机に置き言い切る。
「女にはなりたくない!!!」
「……兄さんが女……フフッ」
「お、笑ったな?このやろ、俺が女になってもオッパイ揉ませてやらないぞ?」
「……そういや、中学三年は復活してなかった?」
「……フフッ、弟よ、今の俺を見てみろ!」
「……」
「中学2年で不登校の間、アニメやゲームに影響されて“人の心の動かし方”やら“マインドテクニックの基本”やら色んな本を見てきた……そして結論!」
「……うん」
「何も考えなくて気にしない方が人間幸せに生きれる!」
「……」
「どうした?」
「……いや……特に………………」
「まぁ、前よりマシな方にはなったけど根本的な部分は治ってないから未だに女性に対して強い不快感を抱いちゃうんだけどな」
「……そうか……」
そんな話をしながら時もお酒も進んでいき__
「すいませんお客様、次でラストオーダーになります」
周りの客はほぼ帰り、結局タダシとヒロユキの2人はラストまで居た。
「ふへぇ?まーじ?」
「……兄さん、もうでるよ」
「うおーぃ!まだまだ飲むぞー!二件目だー!」
かなりお酒が回っているみたいだ。
「……本当に兄さんはお酒好きだね」
「お酒はいいぞぉ!辛いことも悪いことも忘れふ!ラララのおじさんだよぉ気分は!つまり!楽しい気分になれるぅ!」
「……忘れるって……さっきあんまり考えないって言ってたのに」
「それも忘れた!」
「……店員さんお会計で」
その後、フラフラになったタダシをヒロユキが何とか家まで送ったが。
「うぷ……」
帰った瞬間トイレに駆け込み壮大に吐き散らかした。
「オロロロロロロ!ゲェ……」
もはや酔いすぎて視界はチカチカしている。
「や、やべーよ……明日絶対二日酔いだぁ……頭いてぇ……飲みすぎた……」
吐いた後、おぼろげな視界をひどい頭痛に耐えながら床を這いつくばるゾンビの様に部屋に移動して行き__
「暑い……ズボン……邪魔ぁ……」
パンツ一Tシャツ姿になり死人になる様に眠った__
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