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起きろ。
「……」
起きろ。
「いや、起きてるよ!?」
なら返事をしろ。
「何これ、直接脳内に語りかけてるって奴?てか目を開けても真っ白なだけなんだが?」
君には今から異世界に行ってもらう。
「めっちゃ無視するじゃん!?てか異世界?……あ!なるほど……良かろう」
…………物分かりがいいな。
「そりゃそうよ、だってこれ夢だし?時々あるじゃん、夢って認識してて動けるアレでしょ?おしっこ行きたいのさえ我慢すれば楽しめる奴」
……いや、これは夢であって夢ではない。
「“夢であって”って事は夢でもあるんでしょ?ならこれは夢で決定!」
酔ってる?
「なんか夢の中だけど酔ってるみたい……だから起きたら二日酔いの地獄があるから起きたくない……」
……お酒もほどほどにするんだぞ。
「神なのにめっちゃ心配してくれるじゃん」
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「え?なんて?」
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「勘弁してくれ、何言ってるか分からない」
『女神』シ�シ�シ�
「え?『女神』?」
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冷えた床の感覚……学校の廊下で寝てるみたいだ……
……あ、そっか……俺そういや昨日酔ってて床で寝たのか。
「いってて」
激しい頭痛に耐えながらなんとか身体を起こすが意識が朦朧としている。
「せっかく良い夢見れそうだったのに……」
半分脳が働いてない状態だが周りの開放感から雰囲気がいつもと違うのが解ってきて____
「____ん?え?あれ?」
周りを見て冷や汗が出てきた。
「えーーっと……」
アニメやテレビの中でしか見たことない白い柱のでっかい城の中……そして壁には俺たち“3人”を取り囲む様に銀の甲冑を着た人達……
脳で様々なパターンが展開される。
ドッキリ?
それとも酔って記憶ない時に美術館に行って寝落ちした?
警察に捕まって外国に強制送還?
いやいやいやいやいやいやいや……え?どうなってんのこれ?
都合の良いことに“3人”の中に弟の姿があった!!
もう1人は歳は高校生くらいの顔やスタイルに非の打ち所がないイケメン君だ、髪は黒く日本人……うん。
イケメン君と目が合った……なんかすげー驚いてる?な、なに?顔にゲロの跡でもついてる?
「ゴ、ゴホン」
此方を向けと言わんばかりの咳払いが前方斜め上から聞こえたので見ると、2階の豪華な玉座に黒い髭をはやし、眉毛が太く、でっぷりとして王冠を被ったおじいちゃんが居た……うん、なるほど、典型的な王様だね。
よし、馬鹿な頭を振り絞って整理しよう。
変な夢。
神様。
鎧の騎士達。
城。
玉座に座る王様。
ここまでキーワードが出揃えば完璧だ。
マジかよ……ハハ……
異世界転生キターーーーーーーーーーーー!
これあれじゃん!マジの奴じゃん!?
おっと、王が話し出すぞ!
みんな静かに!校長先生や王様の話はよく聞こう!
「ようこそ、勇者達よ」
へへ、勇者だってよ、照れるぜ
「ここはグリード王国、私はあなた達を召喚した、カバルトでございます」
おぉ、テンプレテンプレ、これからお世話になります!
王様サマー!
「本題に入る前に勇者たちは突然のことに混乱している事でしょう、一度心を落ち着かせる為の部屋を用意しています……そこで一度休憩を取っていてください、後に此方から呼びかけに参ります」
ほう?説明の前に休憩とな?
この場合なんで呼ばれたかとか説明があるだろうに?
ま、俺としては二日酔いで頭が痛いから助かるがな……
弟とイケメン君の所には男の騎士、俺の所には女の騎士が毛布を持ってきていた。
え?なんで俺のところだけ毛布が?
しかし、俺はその女騎士に“周りの状況”よりも1番心配していなかった“自分の状況”に気付かされる。
「__いくら勇者と言えど“同じ女性”としてその格好はどうかと……」
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………へ?
「ぎょえええええええええええええええええええええ!?」
自分の声とは思えない高く、綺麗な“女の声”が城中に響きわたった。