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~三話「後悔と始まり」~
こさめ、昨日元気なそうだったなぁ。また聞けなかった。こさめはかわすのがうまいし、演技がうまい。
昔から悩み事は一言も話さなかった。でも長く一緒にいる俺らにとってはこさめが悩んでいることはお見通しだった。
だけど一歩近づくのが怖くていまだに踏み出せていない。今日は雨が降っていた。だから気分が沈んでいるのかも。
そんなこと考えていると学校についた。校門をくぐったあたりで
「おはよ~らんくん!」「おはよー、こさめ!って傘は!?」
傘を少し上げてみてみるとこさめは傘をさしていなかった。だから当然ずぶ濡れだった。
「小学校一年生の子にあげちゃった!」「ええっ?じゃあ傘買えばよかったのに、、」
「確かに!えへへっ」「風邪でも引いたらどうすんの?」「それは困る!(笑)」
少し下のほうに目線をやったその瞬間だった。見てしまった。シャツに透けて。
こさめのお腹にある赤と黒で描かれた花の痣を。
「こさめ、、その痣、、」
「えっ?なんのこ、っ!?これは、ちっ、違くて!」
理解できなかった。理解したくなかった。こさめが風邪をひいてはいけないからと半分自分に言い訳をして
理解したくない現実に目をつぶるようにこさめの手を引いて保健室まで走った。
~~
保健室につくと幸いx先生はいなかった。一応これでも生徒会長なので学校のことは、特に保健室のことは知っている。
予備の制服を取り出しこさめに着替えてもらう。
ほんのすこし、着替え終わらないでほしいと思ってしまった。
着替え終わったときのこさめは気まずそうな顔をしていた。
「らんくん、、」「こさめ、、もし、こさめが話せたら、話せたらでいいから話してくれないかな?」
「うん、、」「それ、花呪いだよね」「らんくんもあの記事見たの?」「うん、結構興味深かったから。」
「なんでなったのかはわかんない。だけどあの記事をみた次の日にお腹にこの痣があった。でも今はそんな
広がってないからまだ大丈夫。」「大丈夫じゃ、、ないよ」「らんくん、、」
「だってこさめ、余命一年ってことでしょ?」「、、そう、だね」
しばしの間沈黙が流れた。本当は医者に、精神科医に対応できそうな所ならどこにでも連れていきたい。
だけど、今のこさめの声音としゃべり方からしてたぶん、たぶんだけど、それは望んでない。
もうこさめは死を受け入れつつある。というかもしかしたら受け入れてる。
だとしたら俺ができることは?そんなの一つしかない。
それは問い詰めることでも、同情することでもない。
「ねえ、こさめ、何したい?」