家中に響き渡った、あの悲鳴。胸の奥まで突き刺さるような、聞き慣れた声。
俺らは一気に顔を見合わせ、同時に二階へ駆け上がった。
《なんや、今の悲鳴!?》
小島が息を切らしながら叫ぶ。
〔……如月ちゃんの声やんな。〕
リチャは眉をひそめながら言う。
『大丈夫やろうか……。』
正門の声は震えていた。
だが誰よりも鋭く状況を察したのは、小島だった。
《なぁ……それより大晴はどこなん?アイツ、如月ちゃんのことになるとすぐ飛び出てくるやん!なのに今、おらんのは……おかしいやろ!》
その言葉に、場の空気が一瞬凍りつく。
そう……
どこにも、大晴の姿がない。
【……もしかして……】
胸に嫌な予感が広がった瞬間、俺は迷わず走り出した。
大晴の部屋へ。
まっすぐに。
〈誠也くん!?〉
佐野の声が後ろから追いかけてくる。
続いてリチャ、小島、正門も足音を響かせながらついてきた。
やがて、大晴の部屋の前にたどり着く。
静かすぎる。
中の気配が、逆に不気味。
【……開けるで。】
俺がそう呟くと、全員が無言のまま頷いた。
緊張で手が汗ばむ。
少しのためらいも許されない。
……ガチャ。
ドアを開けた瞬間……
息が止まった。
そこには……
手足を拘束されたまま、泣き叫ぶ如月。
そして、その上に跨り狂ったように笑う大晴。
これを見た瞬間、俺は怒りが込み上げてきた。
怒りが頭の中を真っ白にする。
【お前、何してんねん!!】
叫びながら、大晴の首元を掴んで強く引き剥がした。
床に押し倒す勢いで掴みかかる。
自分でも抑えられないほど、身体が怒りに震えていた。
その間に、佐野はすぐ如月のそばへ走る。
〈如月ちゃん!!大丈夫!?〉
佐野の声も震えていた。
だが大晴は……
状況を理解していないかのように、狂気じみた笑みを浮かべたまま、俺を睨みつけた。
【お前らのせいや!!】
叫んだ瞬間、拳が飛んできた。
ドスッ!!
【……っ、う……!】
腹に直撃し、思わず息が漏れた。
痛みに膝が折れ、その場にうずくまる。
〈……誠也くん!?〉
佐野の声が焦りを帯びる。
だが、大晴は怒りと狂気の入り混じった目で笑ったままだった。
乱れた呼吸。
膨れ上がる憎悪。
その視線は完全に正気を失っていた。
部屋の空気が、ピンと張り詰めていく。
ここから先、ただの喧嘩では終わらない。
そんな危険な気配が、全員の背筋にまで伝わっていた。






