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12 - 第12話「何も特別なことなんて」

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2021年11月22日

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第12話 何も特別なことなんて

――綾菜は再び、フェイの夢を見ていた。

だが、その視界には何も見えない。

暗闇というより、何かが顔に当たって見えない感じだ。

(なんか……あったかいし、気持ちいい……夢だと思ってたけど、普通に布団の中……?)

そんなことを思ってしまうほど、心地よい暖かさが綾菜の意識を包んでいた。

「――落ち着いたか?」

突然、落ち着きのある司郎の声――とよく似た、ユーリの声が降ってきた。

(!?)

視界――フェイの視線がゆっくり上を向く。

そこには、夢で何度も見た銀髪の青年――司郎と同じ顔を持つユーリがいた。

(ちょ、何この状況……え?)

司郎よりも無愛想で、キツい印象のある顔つきのはずだが――今フェイを見下ろす表情は、少し穏やかで優しかった。

(っ……飛鳥馬も、本当に好きな人には……こんな顔……するのかな)

思った瞬間、心の奥にチリリと痛みが走***********

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