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26 - 第26話 三木の娘、歩美

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2025年07月09日

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◻︎家まで送る



このまま、三木ひとりを帰すのは気が引ける。


「私もこれで帰ります。三木さんを送っていくので」


「あの、俺、俺が送って行きます!俺の責任なんで」


結城が私の前に立ちはだかった。


「なんで?結城君は本気で結婚相手を探しに来たんでしょ?残りなさい。私がついて行くから」


「そんな、2人きりにはさせませんよ、俺もいきます」


「あの、僕のことでしたら、タクシーで家まで帰るのでご心配なく…」


「「いいえ!俺、私がついていきます!!」」


結城と声が重なった。

仕方なく、3人でタクシーに乗って帰った。帰り際、結城さんまだ帰らないで!とひきとめる女性の声が聞こえていたけど、当の本人には聞こえていないようだった。

タクシーの後部座席に3人で乗った。


三木がドライバーに告げた行先は、わりと繁華街の地名だった。


1時間と少し走って、大きなタワマンの前に着いた。


「え?まさか?」


私と結城は目で話した、このマンションに住んでる、とか?


「すみませんが、ちょっと肩を貸してもらえませんか?うち、ここから少し歩かないといけないので」


_____住んでるのはここじゃなかった


ならばと、また結城がおんぶした。人通りが多い街中では異様な光景だったけど、2人は何も気にしていないようだった。


タワマンの脇の道を奥へ進んだら、並木がしげる公園があり、その横に二階建てのアパートがあった。築年数はおそらく30年以上。

タワマンのせいで日当たりも悪く、階段の手すりはペンキが剥げていた。


「あ!お父さん!」


階段を駆け降りてくる女の子がいた。髪を二つに結って赤いオーバーオールを着ている。


「歩美、ただいま」


結城の背中から、三木が答えた。怪我をしてしまってこれから帰ると、連絡してあったようだ。


「お父さん、脚は?痛い?」


「大丈夫だ、湿布でもしてゆっくりしてればすぐ治るから」


「えっと、部屋は2階ですか?このまま上がりますから」


「はい、じゃあお願いします。202です」


歩美は、先に部屋へ行ってドアを開けていた。私は荷物を持って上がった。


「はじめまして、歩美ちゃん。私は森下茜といいます。ごめんなさいね、お父さんに怪我をさせてしまって」


「ううん、きっと、お父さんがつまづいて転んだんでしょ?よくやるから」


「うーん、でも、俺のせいだよ。はじめまして、俺は結城宏哉です。ごめんね、歩美ちゃん」


ぺこりとお辞儀をする歩美。


「お父さん、今日は好きな人を見つけに行ったのに、男の人も見つけて来ちゃったの?恋人とお友達?」


「あはは、違うよ、怪我をしちゃったから心配してついてきてくれたんだよ」


「なぁんだ、残念」


私は、大切なことを思い出した、仕事は?


「三木さん、明日からのお仕事はどうしますか?タクシー?」


「あー、仕事ですか。それなら大丈夫なんです。家でできる仕事なので」


「じゃあ、ご飯とかの家事は?」


「俺が来ますよ、手伝いに。森下さんは、家事が苦手そうだから」


「失礼な!」


そう答えながらも、ご飯ってどうやって炊くんだったっけ?と考えていた。


「それもお気になさらずに。歩美もいくらか家事ができるので。今日はありがとうございました。お世話になりました」


「ね、結城お兄ちゃん、茜おねえちゃん、また来て。お父さんのお友達になってよ」


私は結城と顔を見合わせた。


「また来るからね」


とその日は帰った。


















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