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𝕔𝕠𝕔𝕠
27
#さのその
22
#BL
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「ねぇ、勇ちゃん」
歌番組の楽屋。声をかけてきたのは柔太郎だった。
「…どーした?」
どこか見透かしたような柔太郎の視線。コイツは、ほんとに勘がいいのだ。
仁人に想いを伝えてから、彼の雰囲気は変わった。それは勇斗が何よりもわかっているつもりではある。
ただ今までの仁人が、触れられないほどの痛々しい空気と、視線を落として憔悴しきった雰囲気だったから。
だからこそ、あの日…食事に誘ったことを断り、2人で会う約束をしていた事実と、その後からの仁人の変化に、柔太郎は勇斗に声を掛けずにはいられなかったのだった。
「ちょっと話があるんだけど…今ここじゃあ…」
楽屋には、太智に舜太、それに仁人だっている。
「ちょっ…太ちゃん!」
「俺のよこせや!」
「こらこら、やめなさい」
横では瞬太が食べていたケータリングのエクレアを太智が取り上げ、そんな2人のおふざけを仁人が止めていた。
「あー…分かった」
勇斗と柔太郎が2人でコソコソ話をしているのを仁人は、太智と瞬太を横目に、気になっていた。
『柔が、なんか言ってる…なんだろ、勇斗も真面目な顔しちゃって』
でも、そこに自分が加わるまでの行動力は皆無なわけで。もやもやしたまま、楽屋から出ていく2人を目で追うだけしかできない仁人であった。
「仁ちゃんと、何かあったよね?」
核心をついてくる柔太郎の言葉。勇斗はひとつ呼吸を置くと、はっきりと言葉を紡ぐ。
「好きって言った…」
「そう…」
やっぱり、と重ねた言葉は、柔太郎のどこか安心した表情を作り出す。
「仁ちゃんさ、最近、もう本当に心ここにあらずって感じで、何処となく勇ちゃんのことも避けてたし、気になってたんだよね」
ふうっと、またひとつため息をついたあと柔太郎はすこしはにかみながら、
「でも、良かったよ。仁ちゃんがいつもの仁ちゃんじゃないと…凄く心配なんだから」
「…分かってる。」
「それにしてもさ、今頃向こうでも、仁ちゃん、迫られてると思うよ、」
親指で楽屋を指しながら柔太郎は少し笑っていた。
「あー、そうだよな…」
「困ってるよ、きっと仁ちゃん」
「わかってるって」
そう勇斗が少し決心するように前髪をかきあげなら頷くと、楽屋に足を向ける。
「柔太郎、」
思い立ったかのように、背を向けた柔太郎の肩を掴むと、そこには真摯に見つめる勇斗の姿。
「俺のたちの関係は決して負の重荷にはしない、更に前に進むんだ。お前たちと一緒に」
「…勇ちゃんって欲張りだよね…、いいんだよ、5人がM!LKで幸せならそれでいいんだ」
くすっと笑うと、これでいいのだと、これからも続いていく俺たちの歩む道の途中なのだと。
噛み締める勇斗の姿に柔太郎もまた。何年先も5人で笑い合いたいと、心に強く刻んでいった。
「ねぇ、吉田さん、」
楽屋でも、太智からの声に一瞬時が止まる。
「勇斗とこの間何の話したん?」
「え、?」
柔太郎と勇斗が部屋から出た後、一瞬追いかけた目線を太智は見逃さなかった。普段は持ち前の明るさで分からないけれど、太智の策士な部分があることは、仁人も理解していた。そこへ更に言葉を重ねてくるのは、舜太であって。
「なになに?勇ちゃんと2人でご飯行った時のことでしょ?あれから、仁ちゃん機嫌よねー」
「俺もそう思ったのよ、ほんと良かったんだけどさぁ」
…自分はそんなにも分かりやすい雰囲気醸し出してたのか。仁人は内心頭を抱えながらも、この2人を目の前に、どうしたらいいものか、困惑していた。
「なぁ、仁ちゃーん」
「吉田さーん?」
「っ…」
詰め寄ってくる2人の声に、言葉を詰まらせていると
ガチャンとドアが開き、ふわっと風が吹くように肩を抱かれて仁人は声を振るわせた。
「おいおい、2人で詰めるなって」
「勇斗…」
「安心して、柔にも同じこと聞かれただけだから」
そう、仁人の耳元で囁く勇斗の声に、きゅっと胸を掴まれ、でも程なくして綻び不安が流れていくような、そんな感覚。
「俺は、5人でこれからのM!LKを今までより、もっと大事にしたい。だから、仁人にもっと一緒にいたいって言ったの」
勇斗の力強い声に、その思いは本心そのものな訳だと。この5人で更なる高みを目指すと、もう決めたのだ。
太智にとっても舜太にとっても、それは絶対揺るぎないものであって。
「勇ちゃん、勿論だよ!!」
「いや、勇斗に言われなくても絶対っしょ?」
2人もまた、頷きながら勇斗と仁人の肩を抱いていく。
「そっかそっか、2人が仲良しならそれでいいっしょ?ねぇ、太ちゃん?」
舜太の声にそうやな、と太智もまた一呼吸置いた後、安心したような表情をみせている。
「俺も仲間に入れてー」
柔太郎が楽屋に戻ってくるなり、輪の中へと入り込む。5人で肩を並べると、なんだかふと、目頭が熱くなってくるのを感じたのは仁人だった。
「みんなにも心配かけてた、ごめん。もう大丈夫だから」
そう仁人は、戒めるように呟いて、それでもメンバーから目を離さないようにじっと見つめる。
そうして描くその先は、輝かしい未来。
5人それぞれが互いに掴んだ肩に、ぐっと力を込めていきながら、同じ想いでその刹那を噛み締めていった。
fin
ここまで読んでくださりありがとうございました
M!LKの5人がずっと幸せでありますように
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