お願い…お願いだから治って…忘れないで…
そう願いながら俺は病室をあとにした。
俺はいつも通りお見舞いに来た。
そしていつも通り
「はじめまして。ないこっていいます。」
あれ?反応がない。毎回、どうもとか何か一言は返すのに。
「はじめましてじゃないやろ? ないこ」
え…? 嘘っまさか…
「泣かんといてよ…ごめんなないこ…」
戻った。もう戻ることはないと言われていたのに…!
「ごめんッ!まろぉ…っわがっ…まま…言ってごめん”」
「大好きだよ…っ!もう離れないでッ!」
今度こそは素直になって君に伝える。
「うん。俺もごめんな。俺も大好きやからッ!」
やっと治ったんやね…。ないこは俺が事故にあったショックで記憶障害になった。本当に記憶障害だったのは俺じゃない。ないこなんだよ。でも大丈夫。いつも通りの日常は戻ってきたから。
もう壊さないように。なくさないように。
今日もまた君と過ごす───
~END~
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