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翌日、私たちは依頼を受けるべく、冒険者ギルドに向かっていた。


「今日も良い依頼があるといいねー」


「そうですね。

ラージスネイクと同じくらいの依頼があれば受けてみたいです」


私の言葉に、ルークもやる気満々だ。


「わたしも、ばっちりサポートさせて頂きます!」


エミリアさんも小さく、ガッツポーズのようなものを取る。


魔物討伐になると、私は出来ることが少ないけど……それでも何とか、出来ることを探して頑張ろう。

それ以外の依頼も何かしら受けて、面目を保ちたいところではあるけどね。



「――あれ?

冒険者ギルドのまわり、何だか人だかりが出来てない?」


お目当ての建物が見えてくると、謎の大行列がいくつも出来ていた。


「何でしょうね? 屋台でも出ているのでしょうか」


……エミリアさん、それは多分違うと思います。


「ギルドの職員も外に出ていますし、何かあったのでしょうか」


「何だろうね? ちょっと急いでみよっか」


私たちは歩くスピードを、気持ち速めていった。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「依頼を受ける方はこちらでお願いしまーす!」

「依頼を出す方はこちらでお願いしまーす!」

「納品をする方は裏手までお回りくださーい!」

「販売は本日は中止とさせて頂いておりまーす! ご了承くださーい!」


冒険者ギルドに近付くと、ギルドの職員たちが慌ただしく冒険者を誘導するのが見えた。


「かー、めんどくせぇ……」

「おいおい、いつになったら俺たちの番になるんだよ……」

「まったく、今日の仕事はどうなることやら……」


列に並んでいる冒険者からは、様々な愚痴が聞こえてくる。


「……アイナ様、ギルドの入口で何かあったようですね」


「入口?」


ルークの言葉を受けて、建物の入口を見てみれば……そこには何かの残骸や、焦げ跡が残されていた。


「……なに、あれ?」


「何かが爆発したよう見えますが……」


「うわー、確かにあれでは中に入れませんね。

建物の外で対応しているのも止む無し、って感じですか」


……なるほど。

入口の修復も必要だけど、日中の間は冒険者の相手もしなきゃいけないからね……。

ここから見ても職員たちは忙しそうだし、今日は何をするにしても時間が掛かりそうだ。


「うーん。今日は依頼受けるの、止めておく?」


これは、時間に縛られない者の特権である。

時間が掛かるのであれば、スルーしてしまえば良いのだ。


「そうですね。昨日、お休みしたばかりですけど……」


エミリアさんは申し訳なさそうに言う。

とはいえ、休んだのは三人とも同じなんだけどね。


「ルークもそれで良い?」


「はい、私は問題ありません。

しかしそうすると、今日は何をしましょう?」


「そうだねー。

あ、今日も自由行動にする? ルークも武器屋に行きたいでしょ?」


「私はそれでも構いませんが、アイナ様は何を?」


「私は少しぶらついてから、宿屋に戻ろうかな。

ちょっと錬金術で試してみたいことがあるし」


試してみたい……とはいっても、今ある素材で何を作れるか、確認したいだけなんだけど。

宝石屋で色々な屑石を手に入れたから、新しい何かを作れるようになっていれば良いな……、って。


「分かりました。

エミリアさんはどうしますか?」


「わたしも少し、街を見てまわりたいかもです!」


「エミリアさん、何か気になるところがありましたか?

それなら私も――」


「あ、いえ。

えっと、礼拝堂とか図書館とか、そういうところにですね、はい」


……図書館は私も行きたいかも。

でも、今日は素材の確認を優先したいかな?


「分かりました。それでは別行動、ですね」


「はい、そうですね」


「アイナ様、おひとりで大丈夫ですか?」


「ルーク君、君は心配性すぎるぞ!」


私はルークをびしっと注意した。

……したつもりだった。


「そんなことはありません!

自由に歩くのは良いですが、裏地には入らないように気を付けてください。

あと、知らない人には付いて行かないように――」


……完全に保護者の人だ!

そこら辺は注意するけど、いちいち言わなくても大丈夫だよ、さすがに!


「大丈夫だよ! 子供じゃないし!」


「そうですよ、ルークさん!

アイナさんだって、いざとなれば暴漢の1人や2人、爆弾で――」


「いや、それは無いです」


さすがに街中で、爆弾なんて使えるはずがない。

……下手をすれば、私の方が加害者になってしまうわけだし。


「えーっ?」


「私のことを何だと思ってるんですか……。

まぁそれはそれとして、各自しっかり気を付ける……ってことで!」


「分かりました、くれぐれもご注意ください」

「はーい」


尚も心配してくるルークと、素直に受け止めるエミリアさん。

何か問題を起こせば今後も心配されてしまうから、今日はしっかり、心配されない行動を心掛けることにしよう。


「それじゃ、今日は自由行動! 夜は19時に宿屋の食堂に集合ってことで。

お昼はそれぞれ食べてくださいね」


そう言いながら、ルークとエミリアさんに銀貨を2枚ずつ渡す。


「……これは?」


受け取りながら、不思議そうに言うルーク。


「え? 昼食代だけど?」


「今日はお休みなのに、ご飯代までもらえるんですか!?」


「そこは私のこだわりなので!

ああ、これ以上食べるときは自腹でお願いしますね」


……エミリアさんとか、絶対に超えそうだもんね。


「はぁ……何とも慈悲深い……。

アイナさんが神様なら良かったのに……」


銀貨2枚で神様になれるならお安いものですよ、エミリアさん。


「それではありがたく頂きます。

余った分はお返し――」


「しないで大丈夫! ルークとか、絶対に節約しそうだし!」


「うっ。……わ、分かりました」


図星だったのか、ルークが言葉を詰まらせる。

何となく考えていることが分かるくらいの付き合いはしているからね。今日はしっかり、食べておいてね。


「では、一旦解散っ!」


「はい、それではまた後ほど」

「いってきまーす!」



……というわけで、今日は待望の自由行動だ。

昨日の自由行動は三人一緒だったけど、今日は気ままな一人行動。


さーて。宿屋に戻る前に、どこに行こうかな……!

異世界冒険録~神器のアルケミスト~

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