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誰も知らない、高嶺の花の裏側3
第123話 〚 何も、起こさせない〛
― 陽翔視点 ―
今日は、
なんか嫌な感じがした。
理由は、
ない。
でも、
ある。
(……来るな)
俺は、
放送室の前に立つ。
立つっていうか、
寄ってるだけ。
壁に背中。
スマホ。
いかにも、
用事ないです感。
悠真は、
その少し先。
普通の顔。
普通の立ち方。
瑠斗は、
ガラスに映った自分を
一回だけ見てる。
(今日もキメてんな)
三人。
誰も、
話さない。
話す必要が、
ない。
足音。
一つ。
通り過ぎる。
違う。
また、
一つ。
止まる。
視線だけで、
確認する。
来ない。
入れない。
――それで、
いい。
俺は、
一歩も前に出ない。
声も、
上げない。
守るって、
そういうことだ。
“何も起きない”を
作る。
放送室の中から、
機械の音がする。
二人いる。
それだけで、
十分だ。
しばらくして。
空気が、
緩む。
(……終わったな)
俺は、
スマホを見る。
何も、
来てない。
でも。
それが、
成功。
誰にも
気づかれないまま。
今日も、
何も起こさせなかった。
それで、
全部。