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国連の議事場で各国の思惑が交差する中、昼食まで手配されたホテルでゴロゴロしていたティナは、約束の時間が近付いている事に気付いて身支度を始めた。
このゴロゴロしている間各国のネットにお邪魔したティナは、既に全世界のネット民から絶大な人気を集め、各国首脳を悩ませることになるのである。
今日は今回の地球滞在最後の日だ。残念ながらハリソンさんは多忙みたいで昨日別れのご挨拶をさせて貰った。次はゆっくりと地球を観光してみたい。
で、今日は地球のお土産を用意してくれたみたいでその物色のために異星人対策室のビルへ招待された。まあ、昨日も来たけどね。
いつもの天使装束に身を包んだ私は、転移魔法で移動することにした。偶然にもホテルは異星人対策室のあるビルから100メートル以内だからね。
「アリア、一階の広間には誰も居ない?」
『お待ちを、監視カメラをハッキングしています……受付職員以外は居ません。今の映像を投影します』
ブレスレットから投影された異星人対策室の一階の映像をしっかりと目に焼き付けて、転移魔法を唱えた。
次の瞬間私は異星人対策室のあるビルの一階に立っていた。何度やっても不思議な感覚だよ。
「こんにちは、ティナさん」
「こんにちは、ちょっと早かったかな?」
受付のお姉さんも慣れたもので、にこやかに笑顔を浮かべて歓迎してくれた。
「少しだけお待ちくださいね」
ちょっと待ってると、小走りで……あっ、メリルさんだ。
「こんにちは、メリルさん」
「こんにちは、ティナちゃん。今日も元気そうね?」
相変わらずスーツが良く似合うお姉さんだ。笑顔も素敵。
「良いホテルを手配してくれたからですよ。ありがとうございます」
「お礼は兄さんに言ってあげて。きっと喜ぶから」
「はい、もちろん!ジョンさんは?」
「ちょっと忙しくしてるの。代わりに、この娘を連れてきたわ」
メリルさんに誘われて入り口へ視線を向けると……あっ!
「こんにちは、ティナさん!」
「カレンさん!こんにちは!」
元気に挨拶をしてくれたのは、地球で初めて出来たお友だちのカレンさん。ブロンドの可愛らしい女子高生だよ。ジョンさんの娘さんだけど……ジョンさんの要素が見当たらないのが不思議なんだよねぇ。
「うん、綺麗なままだね。良かった」
カレンさんの怪我の跡を見せて貰ったけど、綺麗になったままだ。地球人相手に魔法を使うのは初めてだし、何より下手な私の魔法でも効果が出たことは素直に嬉しかった。
まあ、疲れ果ててフェルを心配させちゃったし、アリアにはお説教されちゃったけどね。もう少し後先を考えて行動しないと……でもなぁ。目の前に苦しんでいる人がいたら、私は同じ選択をするんだと思う。それだけは変わらない。
しばらく3人で談笑していると、四階へ来て欲しいと呼び出しがあった。四階は広いホールになってて、東西を問わない色々な物が用意されていた。その数に圧倒されていると、ジョンさんが笑顔で迎えてくれた。
「これが君へのお土産として用意したものだよ。好きなものを好きなだけ持ち帰ってほしい。もちろん全部でも構わない」
「全部!?それはちょっと無理です……」
私物のトランクはあるけど、容量はお察しだ。予算はお土産につぎ込んだからね。
となると厳選しないといけないんだけど……うん、ここは娯楽品よりも食べ物を優先しよう。
ジョンさんが用意してくれた品物の中にはたくさんの食べ物が含まれてる。保存食の類いから、材料そのままもある。
「食べ物を中心に持ち帰りたいです。あっ、他の品物もそのままにして貰えませんか?次回持ち帰れるかもしれませんから」
「ああ、もちろんだ。君達の保存方法が分からなかったから、長持ちする食品を中心に集めた。缶詰め、レトルト、冷凍食品の類いがお勧めだな」
「ありがとうございます!アリア、トランクを」
『畏まりました。同時にスキャンを実施します』
「うん、お願い」
「ティナちゃん、私達も手伝うわ」
「私も!」
メリルさん達も手伝ってくれて、缶詰めやレトルト、冷凍食品をどんどんトランクへ詰め込んだ。で、野菜類の中でアードでも栽培できそうな物は種も貰った。
隔離して実験してみようかな。お母さんが興味を持つだろうし。
しばらく皆でワイワイやってると、一人の男の人が近付いてきた……アジア系?
「まさか本物に会えるなんて……初めまして、ティナさん。ようこそ地球へ。日本国外務省の朝霧 武雄です」
笑顔で自己紹介をしてくれた……生の日本人!?でも、なんだか疲れてる?
ここでティナを擁護するならば、前世の同郷人に会えてテンションが振りきれていたことである。こればかりは彼女にしか分からない。そして、そんな彼女は当たり前のように善意で爆弾を落とした。
「初めまして、ティナです!お会いできて嬉しいです!」
握手を交わす二人。
「ちょっと疲れていますか?此方をどうぞ!栄養ドリンクです!元気が出ますよ!」
「これはどうもありがとうございます!」
朝霧だ。まさか話題のティナさんと会えるとは思わなかった。日本人初の快挙ではないかな?気分が良い。彼女からは栄養ドリンクを貰った。アードの品だろうか?効き目が気になるな。
彼女は一旦荷物を整理するために軌道上の宇宙船へ戻ったが、いつの間にか私の周りには白衣を着た学者さん達が集まっていた。
「せっかく頂いたんだ。ミスター朝霧、飲んでみてくれ。好意には答えないとな」
「え?あっ、はい」
何故か学者さん達が私を急かした。確かに好意には応えないといけないが……何故かケラー氏が同情の視線を向けていた。嫌な予感がするが、飲まぬわけにはいかない!
一気に飲んだ。ふむ、ポカ◯スエットみたいで口当たりも……!?うっ!?
「こぉおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!!???」
「キターーー!!!」
なんだこれは!?身体中を駆け巡るエネルギーを感じるが、このままでは大切なものを失いそうな気がする!!
身体中を暴れまわるエネルギーへ意識を向けて、自然と私は少年時代に好きだった国民的アニメを模したポーズを取る!両手を前に向けて、打ち出すようにっ!
「波ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!」
「「「おおおおっっっ!?」」」
一部始終を見ていたジャッキー=ニシムラ(外出時は赤ふんどし愛用)はこう語る。
「なんか出たw」