テラーノベル
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刻印の浮かんだ槍や剣が、ベルシュタイン騎士団によって戦場の一角に集められていく。
「禁忌魔法が付与された武器は、すべて回収しろ。捕虜は拘束する。」
アレクの声が、戦場に響いた。
マレフィカ軍の兵たちは次々と連行されていく。
***
「布をこっちへ! 水は足りてる!? 手の空いた人は、負傷者の名前と容体の記録をお願い!」
診療所の中は、もう一つの戦場だった。
フローラが倒れた今、この混乱を回す人手が必要だった。
主な治療は神官たちが行っている。
応急処置の補助、掃除、洗濯などの雑用に領民たちも力を貸してくれていた。
「バイオレッタ様、次の患者の搬入が――」
バタン、と扉が開いたのは、その時だった。
「……無事か、バイオレッタ」
「っ……アレク!」
振り返ると、アレクが肩で息をしながら立っていた。
目が合ったとたん、鋭かった目元がわずかに緩む。
「それは、こっちの台詞よ。また怪我をして……!」
駆け寄り、眉の上の傷と裂けた鎧から覗く腕を睨みつける。
アレクは、少し気まずそうに視線を逸らした。
「かすり傷だ。マレフィカ軍の指揮官は捕らえた。こちらの勝利だ」
「まったく、もう! 勝てば何でもいいわけじゃないのよ。あなたが無事でいてくれなきゃ……」
言いかけたところで、彼の後ろから銀髪の令嬢がひょっこり顔を出した。
「アレク様のおかげで、文字通りの大勝利ですわよ」
「リリアンヌ!?」
軍服姿のリリアンヌは、優雅に敬礼してみせた。
「バイオレッタ様。ご無事で何よりですわ。……加勢が遅くなり、申し訳ございません」
「本当に助かったわ。でも、どうしてあなたがここに……?」
リリアンヌは「聞いてくださいまし」と言わんばかりに、大げさに肩をすくめる。
「我が家の過保護な兄が、“単身で領地戦に飛び出すなど許さん。動くならエルベルト家として正式に動け”と、それはもううるさくて」
困ったように笑いながら、彼女は続けた。
「手続きを踏んでいるうちに、少し時間がかかってしまいましたの。けれど、間に合って本当によかったですわ」
「後ろが控えている」
アレクが促すと、リリアンヌの背後に控えていた青年が一歩前へ出た。
赤髪に、日に焼けた肌。灰青の瞳。
よく見れば整った顔立ちをしているが、派手さはない。
けれど、背筋の伸びた立ち姿には、妙な安心感があった。
「貴族連合を預かっております。ジュール・ラングレイと申します」
ジュール男爵は、丁寧に頭を下げた。
エルベルト公爵家の私兵だけでは、マレフィカ侯爵家の軍勢を相手にするには数が足りない。
そこでリリアンヌは、若手貴族たちと手を組み、連合軍を編成してきたのだという。
「詳しい話は、場所を移してからにいたしましょう」
リリアンヌが声を潜めた。
#ギャップ
ひより
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鷹槻れん@コノカレコミカライズ

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百はな🍑
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コメント
1件
ひよりさん、第79話読みました!戦場の後始末と診療所の慌ただしさが、ちょうど切り替わるタイミングでアレクが顔を出したのが良かったです。バイオレッタが心配で駆け寄る流れとか、彼女の性格がよく出てるなと。リリアンヌの連合軍、ジュール男爵という新しいキャラも出てきて、これからどう動くのか楽しみです。 (199文字)