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俺はいつもある感情を、ある人間に対して必死に抑えながら過ごしている。 行為中はもちろんのこと。デート中やあいつが寝ている時、話している時にすらそんな感情が溢れ出てきてしまってしょうがない。
俺をそれ程までにさせてしまった人間こそが、俺の俺の彼女になってくれた男、みことだ。 あいつは今、買い物に行っていて俺の側にはいない。一緒に行こうと思ったのだが俺が昨日遅くまで仕事をしていたからと止められてしまった。
動画でも散々行っている通り天然でおなじみのこいつだが、俺はもう天然の域を越えていると思う。 みことは俺という彼氏が居るというのに、他の男……………………まあメンバーなんだが、ベタベタとコミュニケーションを取り過ぎる。
この前だって、
「なっちゃーん!また今度ご飯行こうや!」
「あー良いな、どこ行きたい?」
「うーん………お寿司とか!」
「いいな!じゃあ週末でも行くか!」
「へへっ、楽しみやな!」
彼氏持ちの奴がする話か!?2人っきりだよな…それ。
しかもみことはこの頃いるまとも仲が良いらしい。 最近では口を開けばいるまいるまだ。
こさめは、あの性格からしてしょうがないとは思うが、ボディタッチとか多すぎるし、
すちに関しては、もう………この前なんか
「すちくんかっこよかった!」とか
「きゅんきゅんしちゃった!」とか、
俺がどんな気持で、どんなにハラハラしながらその話を聞いているのか、みことは知ったこっちゃないんだろう。
てことで、そろそろ俺も限界が近いわけだ。
お前は俺のものだって分からせないといけない。
……実を言うと恋人の苦しむ姿が見てみたいという気持ちも少しあってしまう。
でも、俺も人間だしそんなになるまでしてみことに嫌われたくないわけだ。
___だから、どうしようかと悩んでいた。
その時だった。噂をすればというやつか、リビングのドアが開きみことが現れた。
おそらく俺は考えに夢中になっていてみことが帰ってきたことに気付かなかったんだろう。
みことは「ただいま」と俺に微笑みながら上着を掛けていた。
俺も返事をしようと振り返ったその時、
ふと、あるものが目に止まってしまった。
「……………みこと、その指輪って、」
家を出る時にはしっかり見た。
みことの細くて、でも男性らしさはあるその綺麗な指にあったはずの無いものが光っていたのだ。
「ぁあ!これは、さっきいるまくんに貰って………」
は?いるま?どういうことだ。
「お店でばったりいるまくんに会ったんよ、でなんか流れで一緒にアクセサリーでも見に行こうってなって……………」
俺はもう、そんな話なんて聞いてなかった。
気がつけば思い切り床にみことを押し倒していた。
「らん、らん…………?」
金色の瞳が驚きと、少し恐怖が入り混じり揺らいでいる
俺はもう限界だった。
きっと端から見たら獣が襲っているかの様に見えるのだろう。
「………それは、駄目でしょ。」
やっとのことで言えた言葉は、自分でも驚くほどに怒りで震えていた。
「どういうつもりで、っ……………」
「………らんらんに、嫉妬して欲しくて、!!」
「いつも、何も言ってこないから…してへんのかなって、!今、嫉妬してくれた…?」
いつでも嫉妬してるんだわ、馬鹿。
理性なんてもう無い俺の頭でそんなこと言えるわけが無かった。もう止まることなんて知らなかった。
恐怖と期待の混じった金色の瞳は、先程よりも更に強く俺を見つめていた 。
俺の中の悪魔が笑った。