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推しには近づくな!

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11

推しの気づき

2022年09月27日

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「ねえ、言わなきゃ駄目?」

「当たり前だろ!わかんないって言ったじゃん。」

episode11

あの夜から一晩明け、改めて教えてもらうことにした。

あのとき、どうして泣いていたのか。類さんの言ってた、持ってはいけない感情ってなんなのか。

知りたい。

「お願い。教えて。」

「うぅ…。…///む、無理…。」

「何でだよ。言えないことなのか?」

「そういうわけでは無いけど…。」

「じゃあ教えてよ。」

「だ、だって、心の準備が…!!」

さっきからずっとこの調子だ。

心の準備が…とか、日を改めて…とか。そんなに言いづらいことなのか?別に告白するわけじゃ……

あれ?

『それは笑くんに対してだと思うんだ。違う感情がある気がする。』

『大好きだよ?ショウにゃん。だから、これ以上、触れない。』

『それに、大好きな人と離れるのは嫌。』

『ショウにゃんには俺がいるって伝わるまで、離さないつもり。』

『ショウにゃんがいる。それだけで、僕の疲れは癒しに変わるんだよ。だからさ、甘えてよ。』

あ…れ…?///

い、いやいやいやいや!そんな訳ない!!

類さんの言ってたそれってショウにゃんに対してであって、俺じゃない!!

勘違いするな!後で恥ずかしくなるぞ!!

「…ショウにゃん…///」

「は、はい?」

「…ショウにゃんが中学に上がってからでもいい?…かな…。」

「…え?」

「じゃないと、あ、危ない気がして…!!それに、ちゃんとこの感情を理解しないとだから!!」

もう、確定じゃね!?///

「そ、そっか…。了解。しつこく聞いてごめん…。じゃ、じゃあ、俺宿題してくる…。」

「あ、うん!後でココア持って行くね!」

「うん。ありがとう。」

俺が宿題すると言うと、毎回ココアを持ってきてくれる。

何も言わなくてもだけど…


もし、万が一類さんが俺のこと、好きだとしたら…?

俺は……

ああ、やめだやめ。宿題に集中出来ない…!大体、今さきも言ったろ?類さんが今まで言ってきた言葉は全て俺じゃなくて、ショウにゃんに対してだって。

勘違いするな!!

コンコン

ドアを軽く叩く音。

「はい。」

「今入っても大丈夫?」

類さんはどこか気まずそうに、入ってきた。その手元にはココアが乗ったおぼんがある。

「大丈夫。ありがとう。」

「うん、無理し過ぎないでね。」

類さんはココアを机に置くと、その場を去ろうとした。

「あ、類さん。」

「ん?」

「えっと…やっぱりなんでもない。ありがとう。」

「?…何かあったら遠慮なく言ってね。」

「うん。」

類さんは勉強部屋から出ていった。

何で俺…今…?


✿✿✿✿✿

なんとなく、ショウにゃんと俺の間に、小さな、でも分厚い壁が出来ている気がした。

それは飛び越えられるけど、飛び越えたくない。

ショウにゃんはそう思っているはずだから。

ココアを置いたときもそうだった。俺が部屋に来たとき、いつもとは違う顔をした。

もしかしたら…

「ねぇ、どう思う?」

《知らねーよ。》

電話越しに溢れんばかりの呆れ声が聞こえる

「ショウにゃんって、やっぱり俺の気持ちに気づいてんのかな〜…。あ〜…どーしよー!」

《だから知らねぇって言ってるだろーが!》

「これからどうしよう…。顔合わせられない…!!」

《まだわかんないんだろ?もし相手が気づいてなかったら、相手傷付くかもしんねーじゃん。》

「た、確かに…?」

《俺も忙しいんだよ。じゃあな。》

「え!?ちょっと待っ…!」

俺が声を発っそうとすると、ピー…ピー…という電子音が流れた。

…はあ〜…もう…。


✾✾✾✾✾✾

「よし!終わり〜!疲れた〜!!」

大きく伸びをすると、背中からコキコキと音がした。今日は休みとだけあって、出される宿題の量が多い。

勉強をしているときだけ、集中できる。

「他に考えねえといけないことあんのに。」

温かいココアも飲み干し、少し休憩することにした。

中学…。この辺だとどこかな…。

じーちゃんの墓参り行かねえと…。

あ、その前に花買わないとな。

それから…

そういえば、もうすぐで俺の誕生日だ…。すっかり忘れてー…。

ん?

「あーー!」

机がひっくり返るほど勢いよく立ち、そして勢いよくドアに向かう。

ドアの激しく閉まる音を無視し、急いで廊下を突き進む。


「類さん!!!」

あまりにも焦っている俺を見て、類さんは持っているスマホを止めた。

「ショ、ショウにゃん…?」

そして、類さんの両腕を掴む。

「誕生日!教えて!!」

「………え?」

「誕生日だよ!!もしかして、もう過ぎちゃった?」

「え、えっと…まだだよ?一応…」

「マジ!?はあ〜…良かった〜!」

「てか、今日なんだよね…」

· · ·

は?

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