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最初は気づかない。
でも笑い方、声の調子、ふとした癖。
「……あれ?」
胸がざわついて、理由が分からなくて。
話しかけて、名前を聞いて、違うと分かっているのに——
「なんか……すっごく懐かしい気がするんだ」
泣きそうになりながら、笑う。
また好きになってしまう未来を、もう悟っている。
一目で分かってしまった。
理屈では否定できるのに、感情が拒否する。
「……違う」
そう何度も自分に言い聞かせる。
だが、その存在が笑うたび、胸が締め付けられる。
「今度は……守れるだろうか」
前世で果たせなかった約束を、心の中で繰り返す。
すぐには近づかない。
遠くから、静かに見守る。
魂の形が、あまりにも似ているから。
「……生まれ変わり、というものがあるのなら」
記憶がないことを知って、少しだけ安堵し、
少しだけ、寂しくなる。
また一から、想う覚悟を決める。
「……嘘だろ」
目を見た瞬間、世界が止まる。
名前も違う、覚えていない、それでも。
「生きてる……?」
思わず零れた言葉に、慌てて笑って誤魔化す。
今度こそ、ヒーローでいられるだろうか。
同じ過ちを繰り返さないと、強く誓う。
魔法でも理屈でも説明できない感覚。
近づくな、と本能が叫ぶ。
でも目を逸らせない。
「……知らねぇはずなのに」
前よりも、距離を取る。
また失うくらいなら、想わない方がいいと分かっているから。
すぐには触れない。
視線だけで、確信する。
「……やっぱり君だ」
記憶がないことを知って、微笑む。
それは悲しみでも、喜びでもある。
「なら、もう一度恋をさせてよ」
今度は、最後まで。
静かに、確かめるように近づく。
声を聞いて、息をしているのを見て。
「……戻ってきたんだね」
記憶がないと知っても、離れない。
むしろ、前よりも優しくなる。
二度と、失わないために。
最初は否定する。
「そんなはずないアル」
でも、何度会っても心が落ち着く。
「魂ってやつは、変わらないアルな……」
記憶がなくてもいい。
生きている、それだけで十分だと、やっと思える。
気づいた瞬間、言葉が荒れる。
「……ふざけんなよ」
生きてることに怒り、嬉しさに腹を立てる。
記憶がないと知って、舌打ち。
「また最初からとか、最悪だろ」
それでも、目を離さない。
確信はない。
でも、どうしても気になる。
「……似てるだけ、だよね」
話すたび、胸が温かくなる。
前世を知らなくてもいい。
また好きになった、それだけのこと。
見た瞬間、笑ってしまう。
「マジかよ……」
記憶がないと聞いて、少し黙る。
「なら、今度はゆっくりでいい」
焦らない。
失う痛みを、もう知っているから。
直感で分かる。
「……戻ってきたんやな」
でも何も言わない。
記憶がないなら、それも運命。
今度は、笑ってる時間を増やそうと決める。
静かに見つめて、すぐに分かってしまう。
魂の色っちゅうもんは、そう簡単に変わらへん。
「……また会えたんやな」
記憶がないって聞いても、焦らへん。
「そやったら、今度は今から積み重ねたらええ」
穏やかに笑って、そっと距離を縮める。
「別れのない形、探していこか」