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夕暮れどきで薄いもやの出始めたグリーアの港では、船の入出港を知らせるドラの音に混ざって、すれ違う船同士からポーッという霧笛むてきの音が高らかに鳴らされている。

セバーグさんに聞いたところによると、霧笛とは、毎朝晩に霧が出て河や海の視界が悪いときに、他の船との衝突を防ぐために自分の船の居場所を知らせるための合図らしい。

ドラや霧笛の音が次々と鳴っているグリーアの船着き場に到着したわたしたちは、船がついて乗員のみなさんがにぎやかに陸に上がっていくのを背に、桟橋でセバーグさんと向きあっていた。

「長旅お疲れさまでございました、殿下、聖女様、若君。無事にグリーアへ到着でございます。どこかご気分の悪いところはございませんですかな?」

わたしたちの船酔いの心配をしてくれているのか、気づかうような表情をするセバーグさんに、レインを先頭に並んで立っていたわたしたちはそれぞれに首をふる。

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